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デジタル監視システムでおとり捜査は不要? 汚職操作めぐり賛否渦巻くインドネシア

2023年1月24日(火)11時20分
大塚智彦
札束の入った封筒を受け渡す手

*写真はイメージです Atstock Productions - iStockphoto

<捜査手法の議論以上に、汚職ありきな発想こそが問題......>

インドネシアで最強の捜査機関の一つとされる「汚職撲滅委員会(KPK)」の捜査手法をめぐり賛否両論が渦巻いている。

ことの発端はルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)という有力閣僚がKPKによる「囮(おとり)捜査(インドネシア語の頭文字でOTT)」という捜査手法を批判。「囮捜査による汚職摘発はインドネシアの国としての威厳や信頼を損なう」としてデジタル監視技術の導入などで「囮捜査」は中止すべきだと主張したのだ。

このルフット・パンジャイタン調整相のKPK批判は一度ならず、複数回公の場で行われ、国内では「囮捜査」の是非をめぐり賛否両論がマスコミを賑わす事態になっているのだ。

国家としての威厳、信頼棄損を主張

2022年12月20日にルフット・パンジャイタン調整相は首都ジャカルタで開催されたイベントで「囮捜査はインドネシアの国際的なイメージを悪くする。デジタル技術を用いた監視などで摘発を進めれば誰も反対などしない。完全な清潔者は天国にのみある」と発言したのだった。

この発言は「囮捜査」批判と同時に「天国以外の現実の世界には汚職と無関係の者は存在しない」という趣旨でもあり、誰もが汚職に関与している可能性があるともとれる発言となり物議を醸したのだ。

さらに同調整相は2023年1月10日に「(今年はDXを推進する)インドネシアのデジタル元年であり、デジタル監視システムが汚職抑止に役立てば囮捜査は必要なくなる」と発言。さらに1月17日には「私たちは尊厳ある国になるために囮捜査と戦わなくてはならない」とまで発言、批判姿勢を強めたのだった。

発言の背景は?

一般的に考えれば汚職捜査機関の活動に批判を加えるということは、自身や家族、親しい関係者に汚職捜査の手が伸びることへの「牽制」と認識される。特に批判するのが内閣の重要閣僚で、特殊部隊司令官などを歴任した国軍幹部出身者となれば、その発言の影響力は大きいといわざるを得ない。

パンジャイタン調整相は国軍時代には東ティモール作戦などで活躍し、特殊部隊や戦略予備軍などの司令官を歴任したエリート軍人だった。軍人時代には米国留学経験や退役後にシンガポール大使も歴任したこともあり、ジョコ・ウィドド内閣の国際派重鎮として存在感を強めている。

また、イスラム教徒派が圧倒的多数のインドネシアにあって少数派のプロテスタントで、イスラム教の不寛容には反対する姿勢から宗教的多様性と寛容性を信条としている。

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