最新記事

中国

大幅緩和に舵切った中国「ゼロコロナ政策」 現状と今後の予想

2022年12月8日(木)11時47分

一部専門家は、パンデミック発生からの2年間、中国は感染をほぼゼロに抑え込み続けようとした結果として集団免疫がほとんど形成されていない点を挙げ、追加接種の拡大を促している。

もっとも政府は、より効果があるとされる外国製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンはまだ承認していない。米情報部門幹部の1人は最近、習近平国家主席が西側のワクチン受け入れに消極的だとの見方を示した。

ゼロコロナ緩和に対する人々の反応

人々はゼロコロナ政策に不便さや不透明さを感じ、経済的な打撃を受け、移動も妨げられていた。今、人々は喜びに満ちあふれている。

専門家の話では、当局のキャンペーンで中国全土に新型コロナの恐怖が広がっていたが、人々は今、確実に死ぬしかない病気ではないと学びつつある。それでも医薬品の買い付け騒動は収まっていない。保健衛生当局は、医薬品の供給がひっ迫しており、便乗値上げの報告もあると警鐘を鳴らした。

国営メディアが新型コロナウイルスに関して外国、特に米国での死亡例や混乱を盛んに喧伝してきただけに、高齢者の間には今後の感染拡大への心配も広がっている。

経済活動や国境の全面再開にどうつながるか

多くのアナリストは、来年3月か4月に国境が全面再開されるとの見通しを示してきた。中国はもう3年近く、海外からの旅行者に対して事実上、国境を閉ざし続けている。国際旅客便の本数はパンデミック前に比べればごくわずかで、入国者は8日間の隔離を強いられている。

ゴールドマン・サックスは経済活動の再開は来年4月以降、少しずつ進むと予想。JPモルガンのアナリストチームは、再開への道は曲折をたどる可能性が高いと警告する。

今後は冬のインフルエンザ流行の状況や、来年3月の全国人民代表大会(全人代)などが再開時期の手掛かりになりそうだ。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ「一介の仏教僧」として使命に注力、90

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強

ワールド

英外相がシリア訪問、人道援助や復興へ9450万ポン

ワールド

ガザで米国人援助スタッフ2人負傷、米政府がハマス非
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中