最新記事

宇宙

全米が目撃した未確認飛行物体の正体は

Weird Lights Keep Appearing in the Sky Across the U.S.—Here's Why

2022年11月2日(水)15時41分
ジェス・トムソン

ウクライナの旗と、ウクライナ軍にネットアクセスを提供してきたスターリンクのロゴ REUTERS/Dado Ruvic/Illustration

<UFOのように見えた美しいその光は、人類のフロンティア発だった>

全米各地の空で、霧のような奇妙な光が目撃されており、住民たちはその正体を知りたがっている。

米国のあちこちから、よく似た光を撮影した動画がオンラインに投稿されている。10月31日には、「u/DecimusMeridius007」がカリフォルニア州北部で目撃した光の動画をレディットに、10月28日には、「@GardnerGoodyear」がアリゾナ州で撮影した空の動画をツイッターに投稿した。

【動画】全米で目撃された未確認の光

@GardnerGoodyearは本誌の取材に対し、「アリゾナ州グッドイヤーで見た光だ。自宅の庭から見えたが、最高にカッコよかった!」と話した。

この光は実は、以前から何度も目撃されている。いつも、スペースXのロケットが打ち上げられた直後のことだ。スペースXのイーロン・マスクCEOは、カリフォルニア州ロサンゼルスの空を横切る光の写真をツイッターに投稿し、自社のロケットの光だと明言している。

「最初はゆっくり動く彗星(すいせい)かと思ったが、後でスペースXのロケットだとわかった」と、@GardnerGoodyearは言う。

53基の衛星を打ち上げ

SpaceXのロケット「ファルコン」は、この種のロケットとしては初めて再利用可能なロケットだ。ロケットの第1段ブースターが、燃料を使い切った後に再着陸し、再利用できるように設計されている。

スペースXのウェブサイトには、「再利用可能なので、スペースXはロケットの最も高価な部分を打ち上げのたびに新しく作り直す必要がなく、宇宙にアクセスするコストを大幅に引き下げることができている」と書かれている。

今回、レディットやツイッターに投稿された光は、10月27日にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた「ファルコン9」ロケットとみられる。地球を周回する53基のブロードバンド衛星「スターリンク」を軌道に乗せるミッションだ。

【動画】夜空にスターリンクの「衛星トレイン」

ロケットが上昇して大気圏から出るとき、その排気プルームが何キロにも延びて見えることがある。おそらくそれが、カリフォルニア州とアリゾナ州の両方で目撃されたのだろう。スペースXによれば、ファルコン9の第1段ブースターにとって、今回は8度目の打ち上げと着陸だ。このブースターは、二重小惑星ディディモスとディモルフォスを目指して2021年11月に打ち上げられたNASAの「DART」ミッションにも使用されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中