最新記事

インド

「親指の皮を分厚く切り落とした」指紋偽装した男たちが逮捕...鉄道採用試験で不正 インド

2022年10月17日(月)16時15分
青葉やまと

一度は認証を突破できたものの......

職を得ようと替え玉を雇い、指先まで削ぎ落とした依頼人だったが、その努力が報われることはなかった。試験関係者はインドPTI通信に対し、「試験監督が消毒液を男の左親指に吹きつけると、貼ってあった皮膚が剥がれ落ちたのです」と証言している。

替え玉男性が指先の皮膚を装着し、試験会場の認証機でスキャンしたところ、1回目のスキャンは想定通りに突破することができた。だが、警察が発表した第一報報告書(FIR)によると、2回目のスキャンで偽の指紋が見抜かれたという。

2度目のスキャンの際、数回試行しても指紋が認識されなかったため、監視員は不審な印象を抱いたようだ。同時に、 あるいは指が汚れているのではないかと考え、アルコールによる消毒を命じた。男の指をアルコールで消毒したところ、ダミーの皮膚が剥がれ落ち、なりすましが発覚することとなった。

不正行為により、依頼者男性と替え玉男性の両方が逮捕された。公文書偽造、なりすましによる不正、そして共謀の3つの罪状が適用される見通しだ。

景気減速でも安定の鉄道職が人気に

インドでは国営の鉄道企業が大口採用を続けており、安定した就職先として人気を集めている。しかし、就職競争は熾烈だ。

首都ニューデリーのミント紙によると、2020年には約6万人分の新規採用枠に対し、474万人から応募が殺到した。同紙は「世界最大級の採用活動」だとしている。

一方、当時からコロナ禍を受け、マスク着用中の本人確認の難しさが指摘されるなど、不正行為への懸念が高まっていた。

狭き門の突破を試みた男性だが、指先を失い、経歴に汚点を残しただけの結果に終わった。本人としては怪我を覚悟で安定した将来への希望を掴みたいとの思いだったことだろうが、不正によって望んだ結果を手にすることはできなかったようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米財務長官「ブラード氏と良い話し合い」、次期FRB

ワールド

米・カタール、防衛協力強化協定とりまとめ近い ルビ

ビジネス

TikTok巡り19日の首脳会談で最終合意=米財務

ワールド

カタール空爆でイスラエル非難相次ぐ、国連人権理事会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中