最新記事

核攻撃

プーチンが密かに準備を進める「水中からの核攻撃」

Russia buying underwater weapons as concerns of nuclear submarines grow

2022年10月11日(火)22時01分
ニック・モドワネック

ロシアの原潜(ロシア国防省による)Russian Defence Ministry/REUTERS

<放射能を含む大津波を発生させることができる原子力魚雷「ポセイドン」の発射実験に向けた準備が進んでいるとの情報も>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の核威嚇に対する警戒は、主に空からのミサイル攻撃を想定して行われてきた。しかし、ロシアは密かに水中からの攻撃能力の開発に力を入れてきた。

10月10日付のロシア国営通信社のRIAノーボスチは、ロシアのルビーン海洋工学中央設計局が同国防省と協力し、10種類を超える水中無人機(UUV)の開発を行っていると報じた。同設計局の外国事業・軍事技術協力担当副局長であるアンドレイ・バラノフが、国防省との協力を認めた。

ロシア国防省は、8月にロシアで開催された国際軍事技術フォーラム「アーミー2022」で、水中ドローン「Surrogate V」を発表した。バラノフはこれらのドローンについて、以前は魚雷、ミサイルや機雷しか装備されていなかった潜水艦に、新たに際立った能力を追加するものだと述べた。

バラノフはRIAノーボスチに対して、「我々は昨年、初の自律型水中ドローンをお披露目した」と述べた。「今では10種類以上のプロジェクトが進められており、国防省と協力して作業を行っている。ルビーンには小型のものから大型のものまで、幅広い水中ドローンをつくる能力がある」

大津波を発生させる「終末兵器」

これに先立ち、イタリアのレプブリカ紙は、ロシアが「終末兵器」の原子力魚雷「ポセイドン」の発射実験を計画していると報じていた。ポセイドンは水中で長距離を移動し、爆発するとニューヨークなどの米沿岸都市を飲み込むような、放射能を含む大津波を発生させることができる。

【動画】動き出した、プーチンの「核魚雷」ポセイドン

国際ニュースサイトの「ユーラシアン・タイムズ」は、ロシア海軍が保有する重さ1万4700トンの原子力潜水艦「ベルゴロド」が、ポセイドンの発射実験を行う見通しだと報じた。ベルゴロドは、世界最大のタイフーン級原子力潜水艦に次ぐ規模の大型原子力潜水艦で、全長約184メートル。潜水時の排水量は最大3万トンにのぼる。ベルゴロドは白海にある基地を離れたと報じられており、ロシア北方のカラ海に移動してポセイドンの発射実験を行う可能性があるとみられている。

レプブリカ紙は「NATOが最近、加盟諸国に情報報告書を配布した」と報じた。「報告書は7月に就役したロシアの原子力潜水艦ベルゴロドの動きに関するものだ。ベルゴロドが今、北極海に戻っている」

NATOのある当局者は本誌に対して、情報報告書については一切コメントしないと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪首相、トルコとのCOP31共催否定 開催地争い決

ビジネス

野村HDがインド債券部門調査、利益水増しの有無確認

ワールド

英国、難民保護を「一時的」に 永住権取得は20年に

ワールド

トランプ氏、グリーン氏の「身の危険」一蹴 裏切り者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中