最新記事

ロシア

プーチンの後任には更なる強硬派が就く──元MI6長官

Putin could be replaced by more extreme leader, former U.K. spy chief warns

2022年10月13日(木)14時37分
ジェームズ・ビッカートン

裸のプーチンの彫刻を担ぐチェコの抗議デモ(10月7日、プラハ) Eva Korinkova-REUTERS

<部分的動員令も既にプーチンの意思ではなく強硬派の不満を抑えるためのものだった。プーチンの失脚を望む西側は思わぬしっぺ返しを食うことになるかもしれない>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が辞任すれば、彼よりもさらに右寄りのナショナリストが後任に就くことになるだろう――2014年〜2020年までMI6(英国情報部国外部門)の長官を務めたアレックス・ヤンガーが10月11日、BBCのニュース解説番組「ニュースナイト」の中で、このように予想した。

ヤンガーは、司会者に対して次のように述べた。「皮肉なことに、プーチンは自らが土台としてきた政治基盤に追い詰められる危険に直面している。彼の支持基盤だった熱狂的で国粋主義的でファシスト的な極右勢力が今、ウクライナ戦争へのプーチンの対応が手ぬるいと厳しく非難している」

「プーチンは本当は、部分動員令を出したくなかった。国民の反発を食うことが分かっていたからだ。だが右派の不満を抑え込むために導入せざるをえなかった」

司会者が、「プーチンが何らかの形で現在の立場を追われることになれば、後任にはさらに右寄りの人物が就くということか」と尋ねると、ヤンガーはこう答えた。

「そうだ。だから私たちは、何を望むかを慎重に考える必要がある。個人的には、プーチンはいずれ大統領の座を追われて、彼に批判的な右派の人物がその後継者になると思う」

ハルキウ撤退が転換点

プーチンは9月21日、ウクライナへの軍事侵攻での兵力不足を補うために、予備役の部分動員令を発令した。ロシア政府がどのような形であれ動員令を発したのは、第二次大戦以降で初めてだ。

9月に入ってウクライナ軍が反転攻勢を強め、北東部のハルキウ(ハリコフ)を占領していたロシア軍が撤退に追い込まれたことで、プーチン政権に対する強硬派の圧力が強まった。

極右のナショナリストで、ソーシャルメディアプラットフォーム「テレグラム」上に58万1000人のフォロワーを持つイーゴル・ギルキンは9月下旬、侵攻作戦に失敗したセルゲイ・ショイグ国防相は銃殺隊によって処刑されるべきだと示唆。さらにウクライナに対して戦術核兵器を使用するべきだと主張し、そうなれば「ヨーロッパに2000万人の難民を送り込める」だろうと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中