最新記事

統一教会

なぜ統一教会は今も「大きな影響力」を持っているように見えるのか【石戸諭ルポ前編】

JUDGMENT DAY

2022年9月22日(木)11時05分
石戸 諭(ノンフィクションライター)

鳩山政権誕生時に、何か助けを請われていたか否か。鳩山事務所に取材依頼を送ったところ、インタビューは断るという回答と共に「そもそも同教会との係わりはありませんので、事実としてもあくまでも儀礼的なものであり、本人には正直記憶すらありません」と返答があった。

小山田の薫陶を受けていた鳩山ですら、関係を忘れたのだという。説明責任を果たそうという意思は感じられなかった。

冷戦終結以降、統一教会は実際の選挙運動にはどう関わっていたのか。首相候補としても名が上がった、自民党の国会議員Aの元秘書が取材に応じた。Aの選挙に携わっていた秘書、陣営関係者の証言によれば、Aの事務所には統一教会信者が私設秘書として入り込んでいた。その人物を仮にOとしておこう。

陣営には、Oから高額の壺の購入を勧められた、布教を受けたというクレームが支援者から入ることがあったが、不問に付されていたという。Oの働きが一定程度評価されていたからだ。当時、協力関係になかった公明党支持者の家も含めてくまなく歩き、ポスターを貼った。

「もともと2つあった後援会を足し合わせて、3つに分ける。そうすると1つ後援会が増えたように見える。自分が後援会を増やした、と報告して信用を勝ち得た」(Aの元秘書)

統一教会からの集票はOが担当していたが、票そのものは多くはなかった。重宝されたのは、献身的な働きであり、Oも統一教会も国会議員秘書の肩書を必要としていた。Oの狙いはその先の政界進出にあった。

彼は2000年代に入り、民主党系会派の地方議員に転じた。2期8年務めたが、3選を目指す選挙であっさり落選した。票の動きを見る限り、政党への「風」のほうが、団体票より当落への影響は大きかったようだ。

政治家にとって教団の支援を受けるメリットは、選挙区によって異なる。別の自民党議員秘書は言う。

「2010年代にも統一教会から派遣された秘書がいたが、高齢で交代要員らしい人もいなかった。話もかみ合わず、秘書ネットワークからも外れていた。大した票も持っていない統一教会を頼るのは選挙に弱い議員だけというのが共通認識だ」

選挙実務も取り仕切る秘書たちに聞く限り、かつてOのような存在は決して珍しくはなかった。だがこれから増えていくものとも思えない。

※ルポ中編:選挙応援「ダサい」、親への怒り、マッチングサイト...統一教会2世たちの苦悩 に続く。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物横ばい、米イラン協議控え OPECプラス増

ワールド

北朝鮮、戦死兵士の遺族向け住宅地区竣工 金総書記「

ワールド

豪、AUKUS原潜配備へ造船所建設に27億米ドル拠

ビジネス

EXCLUSIVE-FRBが次期金融監督局長にグイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中