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動物虐待

「笑って楽しんでいた」 子グマを縛って虐待死させた人々の写真と動画に非難が殺到

Bear Tortured to Death As It Looked for Water

2022年8月27日(土)14時01分
ロビン・ホワイト
こどものクロクマ

sarkophoto-iStock

<村に迷い込んだ子グマを虐待死させた人々に批判の声が。メキシコではクロクマは保護対象だが、現場にいた警官も笑うだけで止めなかったという>

メキシコで、水を求めて村に迷い込んだクマが虐待されて殺される事件が発生した。現地メディアのメキシコ・ニュースデイリーによれば、メキシコ北部コアウイラ州のカスターニョスに生後4カ月の子グマが迷い込んだところ、住民たちがこの子グマの両足を縛り、殴りつけ、窒息死させたという。

■【動画】足を縛られて窒息させられた子グマと周囲に集まる人々(閲覧注意)

ソーシャルメディアに投稿された「虐殺現場」の写真には、地元住民たちが子グマをロープで引きずる様子が写っている。写真からは、村人たちが子グマに縛りつけたロープの両端を持ち、子グマを取り囲んでいる様子が分かる。写真の中の村人たちは笑顔を浮かべており、最終的には子グマを窒息死させたという。虐待されて死亡した子グマが横たわっている様子を捉えた写真や動画もある。

コアウイラ州のミゲル・リケルメ知事はツイッターで、環境保護連邦検察庁(PROFEPA)を含む複数の当局が、子グマの虐待について犯罪捜査を立ち上げたと明らかにした。

リケルメはツイッターに、次のように投稿した。「コアウイラ州では動物虐待を許さない。ここに暮らす種と環境を保護することが、私たちの責任だ。この残虐行為が罰を免れることはない」

現場にいた警察官は笑っているだけで介入せず

メキシコのクロクマは過去数年間、生息地を失ったり密猟で狙われたりしてきたことから、保護対象に指定されている。それでも一部の地域では密猟が続いており、いまだにクロクマの体の一部や毛皮が時折、違法に販売されている。メキシコ・ニュースデイリーによれば、このような違法行為を行った者は、罰金や禁錮刑を科される可能性がある。

俳優で著名な環境活動家のアルトゥーロ・イスラスは、今回の虐待事件の写真をフェイスブックに投稿。当局は「迅速に行動を起こして」、虐待を行った者だけでなく、現場にいたのに介入しなかった警察官たちも処罰すべきだと主張した。

イスラスは投稿の中で、問題の子グマは「最も残虐な犯罪者よりもひどい扱いを受けた」と指摘。さらに「現場に警察官がいたのに、まるでサーカスのイベントを見るように笑って楽しんでいただけで、何もしなかったことに憤りを感じる」と述べ、政府に行動を起こすよう呼びかけた。

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