最新記事

イギリス

英トラス外相、党首選で初の大失態 公共部門賃金の公約をわずか1日で撤回

2022年8月3日(水)12時28分
トラス英外相

ジョンソン英首相の後任を決める与党保守党党首選の決選で優勢が伝えられるトラス外相が2日、前日に発表したばかりの公共部門労働者の賃金制度改革案の公約撤回に追い込まれた。写真は8月1日、エクセターで撮影(2022年 ロイター/Peter Nicholls)

ジョンソン首相の後任を決めるイギリス与党保守党党首選の決選で優勢が伝えられるトラス外相が2日、前日に発表したばかりの公共部門労働者の賃金制度改革案の公約撤回に追い込まれた。地方の看護師や教師や警察官などが賃金削減を強いられると野党労働党が批判し、保守党の一部からも反発が出ていた。

保守党議員からは支持の高かったスナク前財務相が党員の支持集めに苦戦する中、リードを広げていたトラス外相にとって、選挙戦での初めての大失態となった。

トラス氏は歳出の大幅節減策として、現行の全国規模での賃金協定方式をやめ、各地域の生計費を反映させる地域給与委員会の導入を公約。しかし、2日になって「構想はもう進めない」と表明した。スナク氏陣営から、同構想では何百万人もの看護師や警察官、兵士らの給料が年1500ポンド(1830ドル)下がることになるとの試算が発表されていた。

トラス氏を支持する保守党議員は2日、トラス氏の失敗は避けられたはずのミスで、彼女の誤算は選挙戦の痛手になるとした一方、勝敗にとっての致命傷にはならないとの見方を示した。

7月19―27日にイタリアのデータ会社テクネが実施した保守党員調査では、トラス氏支持が48%、スナク氏が43%と接戦。一方、英調査会社ユーガブが英タイムズ紙の委託で7月29日―8月2日に実施した調査では、トラス氏が60%、スナク氏が26%と7月20─21日の同調査より差が開いた。ただ、ユーガブ最新調査が発表される直前、保守党読者層が多いとされる英大衆朝刊紙デーリー・ミラーは今回の大失態にもかかわらず、社説でトラス氏支持を打ち出している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中