最新記事

事故

家族とギリシャでバカンス中、ヘリに切断された英学生

Man Chopped to Pieces by Helicopter After Exiting While Rotors Spinning

2022年7月27日(水)15時56分
ジャック・ダットン

ヘリコプターのプロペラブレード uladzimir_likman-iStock.

<他の客が恐怖で表情を凍りつかせるなか、男はなぜか、まだローターが回っているヘリのほうへ戻って行った......>

ギリシャを訪れていたイギリス人観光客が、ヘリコプターの回転翼に体を切断されて死亡した。ヘリコプターのエンジンがまだ動いているあいだに、機体に近づきすぎたせいだ。

死亡した22歳の男性は、休暇を過ごしていたギリシャのミコノス島からアテネ経由で戻る途中だったと見られている。7月25日午後6時半ごろ、男性はギリシャの首都アテネに近いスパタの離着陸場で「ベル407」ヘリコプターを降りようとしていた、と「グリーク・シティ・タイムズ」は伝えている。

イギリスメディアの調べにより、この男性の名前はジャック・フェントンで、オックスフォード・ブルックス大学の学生であることがわかった。

フェントンは、ヘリパッドに着陸したヘリコプターを降り、スタッフの誘導で安全にランウェイから離れたと見られる、と英紙サンは伝えている。

サンの報道によれば、フェントンはなぜか突然、受付エリアから取って返し、周囲の人々の顔が恐怖で凍りつき、止まれと呼ぶのも聞かずに、ヘリコプターのほうへ歩いて戻った。フェントンは携帯電話で話をしていたと報じられている。その後、高速で回転する翼がフェントンの頭にぶつかった。

ヘリコプターのパイロットと客たちは、翼がフェントンの命を奪うところを目撃した。この事故でパイロットが「深い精神的外傷を負った」というほど凄惨な光景だった。

救急隊が呼ばれたが、男性はほぼ即死だったと見られている。

セルフィを撮ろうとした?

フェントンと、彼の姉妹を含むほかの3人のイギリス人観光客は、ミコノス島からアテネへ戻るためにこのヘリコプターをチャーターしていた、とグリーク・シティ・タイムズは報じている。

フェントンの両親は、息子のあとから、別のヘリコプターで飛行しているところだった。サンの報道によれば、事故を目撃したパイロットが、両親の乗るヘリのパイロットに無線で連絡し、死んだ息子を見ずにすむように着陸地をアテネ空港に変更させたという。

グリーク・シティ・タイムズによれば、ギリシャの警察が現在、捜査を進めており、ローターがまだ回転しているあいだに乗客が降りることを許された経緯について、パイロットを取り調べているという。

警察組合長のギオルゴス・カリアクマニスによれば、「ヘリのプロペラは、パイロットがエンジンを切ったあと、50秒で止まるボタンを押さないかぎり、2分ほど回転を続ける」という。「ヘリコプターのドアにセキュリティ機能はなく、その気になれば誰でもドアを開けて外へ出られる。予備捜査では、プロペラとエンジンが止まってから外に出るようパイロットが(乗客に)伝えていたかどうかが焦点になる」

警察はそのほか、フェントンがセルフィ撮影のためにヘリのほうへ戻った可能性についても調べているという。

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ協議の早期進展必要、当事国の立場まだ遠い

ワールド

中国が通商交渉望んでいる、近いうちに協議=米国務長

ビジネス

メルセデス、2027年に米アラバマ工場で新車生産開

ワールド

WHO、成人への肥満症治療薬使用を推奨へ=メモ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中