最新記事

ベラルーシ

ベラルーシ軍将校が「ロシアとの心中」を拒否、反乱の可能性も

Putin Ally Lukashenko Faces Revolt From Officers Against Ukraine War

2022年7月11日(月)15時44分
ファトマ・ハレド

ルカシェンコは隣国ロシアのプーチンの言いなり Sputnik/Mikhail Metzel/Kremlin via REUTERS

<プーチンを後ろ盾に強力な権力をふるってきた独裁者ルカシェンコ大統領も、今度は自国軍の反乱に直面するかもしれない>

ベラルーシ軍の幹部が最近、ロシアによるウクライナ侵攻への反対を表明した。同国のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、軍幹部の反乱に備えなくてはならないかもしれない。

ベラルーシ軍特殊部隊第5旅団の幹部は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親しいルカシェンコ大統領に宛てた公開書簡で、ウクライナに軍隊を派遣することは「純粋な自殺行為」だと警告した、と英デイリー・エクスプレス紙は9日に報じた。

「ウクライナとの戦争に参加することで、ベラルーシは文明国の共同体から追い出され、今後何年にもわたって国際社会からのけ者扱いされるだろう」とこの幹部は書いた。

2月下旬にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ベラルーシは、ロシア軍の駐留と大規模な軍事訓練の実施を認めてきた。またベラルーシ国防省によると、ベラルーシも軍の戦闘即応性をテストするため、5月に大規模な軍事訓練を開始した。

だが、ベラルーシ軍の一部メンバーは引き続きロシアのウクライナ侵攻を非難し、ルカシェンコへの書簡の中で、「ロシアが国際的に認められたウクライナの領土を占領し、(わが国の)友邦であり、主権国家であるウクライナに対する一方的な侵攻にベラルーシを引き込もうとすることは、ベラルーシの主権の破壊としか思えない」と述べた。

国民も参戦に反対

ベラルーシ軍幹部はさらにこう続けた。「特殊部隊第5旅団の将校は、ロシアの最高政治指導者によるベラルーシ憲法第1条の最も深刻な侵害を確認した。この条項により、ベラルーシ共和国は自国の領土における優位性と完全な権威を維持している。また、内政と外交の独立を享受している」

英王立国際問題研究所が発表した新しい世論調査によると、ベラルーシ国民もウクライナに対する戦争を支持していない。同研究所によれば、ロシアを支持する人は3月の時点で28%、6月の調査では23%にとどまった。一方、同研究所のベラルーシ担当ディレクター、ライゴール・アスタペニアによれば、ベラルーシ軍がロシア軍と共にこの戦争に参加すべきと考える人は全体のわずか5%だという。

7月初め、ルカシェンコは他の旧ソ連諸国に対し、ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアから離反してはならないと警告した。

そして「ソビエト崩壊後の世界において、旧ソ連諸国が主権と独立を守りたいのであれば、ベラルーシ・ロシア連合国家との関係改善に真摯に取り組むべきである」と述べた。「われわれは力をあわせることによって、初めて世界的な難問に対処することができると確信している」

プーチンは7月1日、ベラルーシの都市グロドノで開かれたフォーラムで、欧米からの制裁が「ロシアとベラルーシの結びつきを加速させている」と述べ、ベラルーシとロシアの同盟関係を強調した。

【映像】ルカシェンコの金ピカ宮殿、便器も金」を見る

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、中東緊迫の長期化がインフレ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、利下げ観測後退で週間では下

ワールド

米政権、AI政策で統一的枠組み 州規制の標準化狙う

ワールド

ロシア中銀が利下げ、政策金利15%に 中東情勢巡る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 9
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中