最新記事

インド

女性を踏み殺したゾウ、葬儀に現れ遺体を執拗に踏みつけ去る インド

2022年6月16日(木)17時10分
佐藤太郎

ゾウは自分の安全を脅かされなければ人間をいきなり襲うことはない(写真はイメージ) uzhursky-iStock

<突然姿を現したゾウはマヤさんの遺体に突進し突き飛ばした。その上、地面に叩きつけた遺体を執拗に踏みつけてから去ったという>

インドで女性を襲い殺したゾウがその女性の葬儀中に再び現れ、彼女の遺体を踏みつける事件が起きた。

インドのニュースサイト「The Print」が報じるところによると、インド北東部オディシャ州マユルバンジ地区ライパル村に住む70歳の女性、マヤ・ムルムー(Maya Murmu)さんは、井戸で水を汲んでいた時に野生の象に襲われた。

nw-el-02.jpg

ゾウの襲撃後 Photo via YouTube

このゾウは、隣接するダルマジャルカンド州にあるダルマ野生生物保護区から迷い込んだものとみられる。ライパル村とは約200キロ離れている。

襲われたムルムーさんは病院に搬送されたが、傷がひどく息を引き取った。その後、家族がムルムーさんの遺体を自宅に運び、葬儀の準備を進めていたそのとき、ムルムーさんを襲ったとみられるゾウが現れ、暴れ始めたのだ。

親族たちは逃げ惑い、その場は混乱。慌てふためく人間を尻目にゾウはムルムーさんの遺体に突進し突き飛ばした。その上、地面に叩きつけ執拗に踏みつけてから去っていったという。

nw-el-03.jpg

ムルムーさんを襲ったとされるゾウ Photo via YouTube

遺体はゾウが去った数時間後、無事に火葬を終えた。

ゾウは優しい生き物だけれど...

弁護士で、野生動物の保護団体「Save The Asian Elephants」の創設者であるダンカン・マクネアは、「(ゾウは)優しい生き物だが、その危険性と死に至る可能性を思い出させる事件だった」と米ニューズウィークに語った。

ただ、ゾウが何も挑発されずに今回のような行動を取るケースは稀だと指摘している。とはいえ「挑発されたり虐待されたりすると、死ぬほど危険な存在になりうる」

「象は一般的に温和で、受動的な生き物です。自分の安全を脅かされなければ、何の脅威にもならない人間をいきなり襲うことはない」とした上で、この事件はゾウへの挑発をしていないにも関わらずに起こった惨事であり「驚くべきこと」と語った。

象がわざわざ葬儀に現れ遺体に危害を与えたことは、ゾウの 並外れた認知能力に起因している可能性があるという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 6
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 7
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 8
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 9
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 6
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中