最新記事

米経済

「米インフレ率は9%もありうる」──著名債券ストラテジスト

Inflation to 'Get Worse' Even After Hitting 40-Year High: Allianz Adviser

2022年6月13日(月)16時24分
ファトマ・ハレド

確度の高い経済予想で知られるエアリアン(写真は2017年) Lucy Nicholson-REUTERS

<40年ぶりの高い水準に達したアメリカのインフレ率は「ピークアウト」に近い、という市場の希望的観測をモハメド・エラリアンは否定した。インフレはまだ悪化する、輸入物価が上がり始めたとき、FRBの対処が遅れたからだ>

著名な債券ストラテジストで独金融大手アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアンは6月12日、インフレは「まだ悪化する」と警告し、米経済の行く末について自説を展開した。

CBSテレビの番組「フェイス・ザ・ネーション」に出演したエラリアンは、インフレがおさまるかもしれないという声もあるが、それは「見当違い」なのか、それとも「現在の経済の状況を把握することがいかに難しいかを表しているのか」と問われ、「両方だ」と答えた。

「当初は、インフレが一時的なもので、すぐに元に戻るという希望があった。すでにピークを超えたという希望的観測もあった。私はそうした見方に同意したことはない。今回のインフレの行方について、われわれが持っている知識を過信してはいけないと思っている。このままではインフレ率が9%になってしまうかもしれないと危惧している」

米労働統計局が10日に発表したデータによれば、アメリカの生活費は数カ月連続で上昇しており、5月のインフレ率は前年同月比で8.6%に達した。「1981年12月以来、最も高い上昇率」だという。

4月のインフレ上昇率は8.3%で、40年ぶりの高水準を記録した3月の8.5%よりは減速したこともあり、エコノミストたちは5月のインフレ率を8.2%と低めに予想していたし、価格上昇はロシアのウクライナ侵攻の影響を受けている食品とエネルギーが中心だとも考えていた。

必需品高騰が家計直撃

だが、今回のインフレには程度国内要因が絡んでいるのかという質問に対して、エラリアンは 「インフレは主に輸入品から始まったが、FRB(米連邦準備理事会)はすぐ反応しなかった」と述べた。現在のようなすさまじいインフレに対処する方法はふたつに一つしかない、とエラリアンは言う。「景気後退のリスクを冒しても強くブレーキをかけるか、ブレーキ踏まずにインフレを必要以上に長引かせるか、だ」

エラリアンはまた、このインフレがアメリカ経済にどう影響するかについても話した。「このインフレはすべてのアメリカ人を苦しめているが、特に貧しい人々への打撃が大きい。またインフレが長引けば長引くほど、需要崩壊の危険が高まる。つまり、平均的なアメリカ人が物価上昇の影響で支出を減らすようになる。これは望ましい状況ではない」と述べた。

エネルギーと食料の価格は、5月までの12カ月間で大幅に上昇した。エネルギー価格は前年比で34.6%も上がり、「2005年9月以来、最大の上昇率」になったという。

このインフレにどう対処するかについてジョー・バイデン大統領は5月、「大企業と富裕層に公平な負担を求めることで連邦政府の赤字を減らす」と言っている。

ニューズウィーク日本版 健康長寿の筋トレ入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月2日号(8月26日発売)は「健康長寿の筋トレ入門」特集。なかやまきんに君直伝レッスン/1日5分のエキセントリック運動

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-「安全の保証」巡り首脳レベルの協議望む=ウク

ビジネス

訂正米PCE価格、7月前年比+2.6% コアは5カ

ワールド

トランプ氏のFRB理事解任巡る審理開始、裁判所判断

ワールド

プーチン氏、トランプ氏欺くことに 露ウ会談約束しな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中