最新記事

テクノロジー

実はアマゾンも危ない? 巨大テック企業「無敵神話」を疑え

2022年5月20日(金)17時06分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
IT企業

アメリカ・シアトルの無人コンビニ店舗 「Amazon Go」 400tmax-iStock

<「GAFA+Netflix」の株価が伸び悩んでいる。今は無敵と思われている企業も、永遠に「巨人」であり続けるとは限らない。デジタル・プラットフォーム企業の未来予想図とは?>

今年に入り、グーグル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップルのいわゆる「GAFA+Netflix」の株価が伸び悩んでいる。ネットフリックスに至っては、4月に株価が暴落したことは周知のとおりだ。

これは投資家の成長期待が鈍化している表れであり、今後も低下することを懸念する動きがある。一方で、一時的な停滞であり、今後も成長することが期待できる、むしろ買いのチャンスだと考える人もいる。

絶対強者であるGAFAのこの現象をどう考えればいいのだろうか。

巨大テック企業 無敵神話の嘘 GAFA+Netflix+Xの勝者と敗者』(ジョナサン・A・ニー・著、CCCメディアハウス)では、GAFA、Netflixをはじめ、注目すべきさまざまビジネスモデルやその実情を分析。

コロンビア大学MBA教授であり、エバーコア銀行のシニアアドバイザーを務めるジョナサン・A・ニー氏は、一般の人どころか投資家や経営者に至るまで当たり前のように信じられている「プラットフォームの妄想」に警笛を鳴らす。

プラットフォーム4つの妄想

「プラットフォームの妄想」は、次の4つの誤った考え方により支えられているという。(28ページ)


「プラットフォームの妄想」に関する中心的な考え
1 プラットフォームは、画期的な新しいビジネスモデルだ
2 デジタル・プラットフォームは、構造的にアナログ・プラットフォームより優れている
3 すべてのプラットフォームは、強力なネットワーク効果を示す
4 ネットワーク効果は、否応なしに「勝者ひとり勝ち」モデルへとつながる

これらは、一般的に考えられているプラットフォームのイメージだろう。しかし、著者は明確な間違いを指摘する。

たとえば「デジタル・プラットフォームは、アナログ・プラットフォームよりも優れている」という点だ。それに対し、著者は本書でそれぞれの事業特性を比較する。

アナログ・プラットフォームの例としてあげているのが、ショッピングモールだ。そのメリットとして、まず売り手の長期リースが確約している。そして、その性質上、近くに競合するショッピングモールが存在する可能性が低い。

つまり、買い物客が他の選択肢を選びにくいのだ。モールの運営者は投資家に対し、大きな利益を保証することにつながる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中