最新記事

米軍事

「中国には奪われるな」南シナ海に沈没のF35C 米海軍、水深3000mの海底から回収

2022年3月4日(金)19時30分
大塚智彦

そして2日に3800メートルの海底で事故を起こして沈没しているF35Cを発見。無人深海作業艇が引き揚げ用のロープをつけ、深海作業支援艇が海面まで引き上げ、海軍艦艇に収容することに成功した。

2日に米海軍が公表した写真を見ると、収容されたF35Cはカバーで覆われているものの、両翼などは原型をとどめているとみられ、空母の飛行甲板から海面に墜ちてしばらく浮かんでいた状態のまま、海底に沈んだものとみられ、機首や両翼などの部分は致命的な破壊を免れたとみられている。

それだけに中国側に機体が渡ることを未然に防ぐことができたことに米側は安堵しているといえるだろう。

米海軍によると早期の回収に成功した機体は米軍基地に搬送して、今後詳細な事故原因の調査を行うとしている。

乗組員が事故動画を流出

今回のF35C沈没事故に関しては事故の様子を撮影した動画がインターネットなどに流出する事件も起きた。動画は飛行甲板の状況を記録するために飛行甲板に設置された「ランプ・ストライク」という装置の動画をスマートフォンで撮影したものとみられ、乗組員の関与は間違いないとして「犯人捜査」が行われた。

その結果米海軍は2月18日に軍規範違反容疑で「カールビンソン」乗組員の海軍少尉1人を含む上級兵曹など5人を訴追。艦内での懲罰委員会で職務停止、減給などの処分を受けたと発表した。

今回の動画流出はF35Cの事故に付随して起きた事案だが米海軍内の情報統制、乗組員の倫理、士気に関して「緩み」が生じていることの証左であるとして引き締めが求められる事態となっている。

ウクライナへのロシア侵攻にともない親ロシアの習近平国家主席率いる中国が台湾海峡や南シナ海での活動を活発化するとの見方もあり、米海軍は南シナ海での警戒監視を強めている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランの天然ガス施設空爆、米と連携との

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 原油高受けたインフレ圧力

ワールド

トランプ氏訪中、中国が延期で合意 早期に再調整=米

ワールド

高市首相が米国へ出発、「我が国の立場踏まえしっかり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 6
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 7
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中