最新記事

YouTube

「インターネット上で最も恐ろしい動画かもしれない」1300万再生の短編ホラー『The Backrooms』

2022年2月9日(水)14時50分
青葉やまと

16歳アーティストが手がけた恐怖凝縮の9分間......(動画は記事中に)Kane Pixels-YouTube

<ネット上の怪談をモチーフにした、リアルな恐怖動画が話題に。その仕掛人は、まだ16歳のVFXアーティストだ>

ある恐怖動画がYouTubeで公開され、海外のホラー好きを中心に大変な話題となっている。格段の恐怖を感じるとしてシェアが相次ぎ、再生回数は公開1ヶ月で1300万回を超えた。まるで熱にうなされた日にみる悪夢のような絶望感を、リアリティあふれる映像で再現している。

タイトルは、『The Backroom (Found Footage)』。直訳するならば「非公開研究所(発見された映像資料)」といったところで、あるアマチュア・カメラマンが90年代に収めたVHSテープという位置付けだ。

作中、意識を失ったカメラマンが目を覚ますと、そこは窓のないオフィスのような室内。黄ばんだ照明が薄暗く照らす視界には、壁と床だけのがらんどうのスペースが広がるのみだ。カメラマンは廊下に出るが、無機質な通路が果てしなく伸びているだけで、窓と出口は一切見当たらない。

「誰かいるか?」と呼びかけるも、先の見通せない空間に不気味に反響するばかり。恐る恐る深部へと足を進めるカメラマン。背後から何者かの気配。振り返ると廊下の奥に一瞬、明らかに人間ではない者の影が覗き......。

薄気味悪い館内で彼が出会うのは、奇怪な落書き、謎の記号、「動くな」との警告、そして絶えず響く獣のようなうめき声。動画は9分少々と短いものだが、異様な緊迫感に満ちている。

恐怖感とクオリティに脱帽

恐怖を凝縮した本作に、各方面から賛辞が相次いでいる。米ラジオ局のWPSTは、「インターネット上で最も恐ろしい動画かもしれない」「独自性のあるコンテンツを探し求めていたインターネット上のホラーファンたちを震撼させた」と述べ、戦慄の映像作品だと紹介している。

ライターのジェイソン・ヘラーマン氏は、映画関連サイト『ノー・フィルム・スクール』上で、「この数年間に観たなかでも、最もオリジナリティあるホラー作品だ」との賛辞を贈っている。「ただただ地獄のように恐ろしい」「視聴後1時間は心臓が胸から飛び出すかと思った」と感想を漏らす。ヘラーマン氏は脚本家でもあり、自身の脚本作品がサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で上映された経験をもつ。

突発的な恐怖演出、いわゆるジャンプスケアが比較的少ないことも、作品の質を高く感じさせる要因だろう。開始1分も経たずに異質なバックルームの空間に迷い込むと、部屋の隅や廊下の角の向こうに何が待ち構えているのかという恐怖が画面を支配し、エンディングまで高い緊張感がそのまま持続する。

必ずしもずば抜けてショッキングな瞬間があるわけではないものの、音やビジュアルに繊細で巧みな変化を加えながら、緊張の糸を張ったまま9分間を走り切るショート作品だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、集会で経済実績アピール 物価高への不満

ワールド

小泉防衛相、中国から訓練の連絡あったと説明 「規模

ワールド

インドネシアとの貿易協定、崩壊の危機と米高官 「約

ビジネス

来年はボラティリティー高く利益上げるチャンス、資産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 9
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中