最新記事

韓国

韓国の「防疫パス」早々と見直し 反日集会もソーシャルディスタンス策の影響受ける

2022年1月26日(水)16時50分
佐々木和義

学習施設への防疫パスの適用停止を求めた訴訟は福祉部長官を相手取っていたことから全域が対象だが、大型店の運用停止はソウル市長に対する訴えだったため、ソウル市内のみ停止する。防疫パス不所持者はソウル市外の大型店には入店できない不公平が生じている。

政府は妊婦にも防疫パスを適用すると発表した。感染して隔離が解除された人は防疫パスが免除されている。また、1回目の接種で重大な副反応が起きて2回目の接種が延期・禁止されている人も防疫パスが免除されるが、出産予定日を登録した女性のなかで、ワクチン接種後の副反応が報告された人が少ないとして妊婦には防疫パスを免除しない方針を打ち出し、妊婦などから不満の声が上がっている。

再開した反日集会にも、ソーシャルディススタンスの影響が

いっぽう、ソーシャルディスタンス施策は、反日集会を行っている団体の活動にも支障が出ている。慰安婦支援団体「正義記憶連帯」は1992年から毎週、旧日本大使館前で「水曜集会会」を行ってきた。デモが禁止されて以降、オンラインで開催していたが、昨年11月から再開した。

同日同時刻に同じ場所でデモや集会が実施される場合、先に申請した団体に優先権が与えられ、後から申請した団体は位置をずらして実施するが、ソーシャルディスタンスによって相応の距離を取らなければならないことになっている。

正義記憶連帯の解散を訴える保守系団体「自由連帯」が、水曜集会が開催されてきた慰安婦像の周りを先に申請し、10メートルほど離れた聯合ニュース本社前も「慰安婦法廃止国民行動」が前もって申請している。正義記憶連帯は隣接する国税庁前で「水曜集会」を開催したが、その場所も別の団体が先取りするなど、実施のたびに慰安婦像から離れているという。

韓国は1月29日から2月2日まで旧正月連休となる。家族や親戚が集まる年中行事を前に防疫パス所持者の会食は6人まで緩和した。多くの人が移動や接触をする期間であり、感染拡大が危惧されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中