最新記事

フィギュアスケート

北京五輪フィギュア女子、名演技に見る日本代表3選手の個性

2022年1月6日(木)10時55分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
左から坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手

ロシアの牙城を切り崩すのは?(左から坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手) From Left:Pontus Lundahl/TT News Agency via REUTERS, Denis Balibouse-REUTERS, Issei Kato-REUTERS

<北京五輪への出場を決めた坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手──過去の演技から3選手の魅力を知ることで、フィギュア観戦は倍楽しめる>

昨年末に行われた全日本フィギュアスケート選手権大会で、北京五輪の出場選手が決定しました。日本代表は、男子は羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手、女子は坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手、ペアは木原龍一・三浦璃来組、アイスダンスは小松原美里・尊組です。

北京五輪フィギュアスケート競技のシングル女子代表選手について、今シーズンのSPとFS(※1)の演技の見どころと、過去の代表的な名演技をご紹介します。

※1 フィギュアのシングル競技は、SP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)の2演技の合計点で競う。

▼男子選手の紹介記事はこちら
これさえ知ればフィギュア通! 北京五輪男子代表3選手の神演技をおさらいする

坂本花織選手(21)──伸びやかで雄大な演技にロシアのマスコミも警戒

SP「Now We Are Free」、FS「No More Fight Left In Me」

2018年平昌五輪の出場者。当時、女子の出場枠は2枠しかなく、坂本選手はシニア1年目でしたが、2017年全日本選手権で宮原知子選手に次ぐ2位となり五輪出場を決めました。

坂本選手の魅力は、伸びやかで雄大な演技です。凄まじいスピードでリンクの端から端までを駆け抜け、ジャンプも大きな幅で飛んで余裕があります。テレビ画面よりもスケート会場で演技を見ると、より魅力がわかる選手です。

北京五輪のフィギュア女子の表彰台はロシアが独占するという見方が有力ですが、ロシアのマスコミが「ロシアの牙城を切り崩す可能性がある」と最も警戒しているのが坂本選手です。

坂本選手は平昌五輪シーズンから、フランス人振付師のブノワ・リショーさんと組んでいます。

今シーズンのSPは、坂本選手の演技史上で1、2を争うハマリプロです。映画「グラディエーター」の最後に流れる曲で、帝政ローマ時代を描いた壮大な世界観と、暴君を倒し自身も命を落とすことになった主人公の満たされた気持ちを、躍動感のあふれる力強い演技で伝えます。見どころは演技終盤のステップで、自由に向かう喜びを身体いっぱいに使って表現します。

いっぽうFSは、海外のドキュメンタリー映画「WOMAN」の音楽です。映画は「女性の芯の強さ」をテーマにしており、難解でメッセージ性の強い曲の解釈を振付に反映するリショーさんらしい選曲です。見どころは、この4年間、試行錯誤しながら自分のスケートを掴んだ坂本選手自身の芯の強さです。3回転半や4回転ジャンプはなくても、要素やスケーティングの質を極限まで高めた演技に注目してください。

坂本選手の代表的な演技を3つ、ご紹介します。

1つ目は、2016年ジュニアグランプリ(JGP)日本大会のSP「アーティスト」です。5年前の演技ですが、すでに現在の坂本選手を彷彿とさせるスピードのあるスケーティングと大きなジャンプを見ることができます。溌剌とした元気いっぱいの演技でSP1位になるとFSも2位とまとめ、JGP初優勝を飾りました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中