最新記事

セーフティーネット

年金+バイトは12万円ポッキリ それでも山谷に暮らす男が月25万円を稼げる秘策とは

2022年1月29日(土)14時40分
國友公司(ライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

東京都内の公園の清掃作業

行政から発注される掃除の仕事をこなす男性たち(撮影=筆者)。

国民年金と厚生年金は手取りが減るのが嫌だからと会社の勧めを断って払わなかった。どこまで本当か分からないが、三十五歳で家を解約し、それから四十年間路上で生活しているとのことだ。

鉄人はホームレスとは思えないほど清潔だが、これにはカラクリがある。鉄人の紹介で引っ越しセンターで働いていた男たちが現在何人も、生活保護を受けながら山谷のドヤで暮らしているという。被保護者は年間で六十枚、行政から銭湯の入浴券が交付される。それらを昔からの人脈を使ってかき集めているのだ。

昔助けた仲間のよしみでほかにも様々な助けをもらっているという。

生活保護を受けながら月収は二十五万円

鉄人のとなりにいた二人が「ドヤに戻る」と言って先に帰り、鉄人と二人きりになった。

「あの二人も生活保護を受けて山谷のドヤに暮らしてんだ。金が入っても三日で全部ギャンブルに使っちまうからよ、一緒に炊き出し回ってんだ。アイツら毎月ガバガバ金が入ってくるんだぞ。月収二十五万くらいはあるだろうな」

二人は、年金をもらいながらダンボール手帳()の仕事とシルバー人材派遣の仕事(月約十万円になるという)もこなし、その上で生活保護(現金書留でもらっている)を満額受給しているという。

(※)求職受付票。路上で寝る野宿者のための手帳なので、通称ダンボール手帳と呼ばれている。これに登録をすると、月に三回ほど東京都から清掃の仕事をもらうことができる。

一定額の控除はあるが、収入があればそのぶんの生活保護費は差し引かれるはずだ。

「そんなことできるんですか」
「法の網をかいくぐればできちゃうんだよ。法には必ず抜け道があるからな。山谷で同じことやってる奴が五十人はいるぞ」
「どうやってやるんですか」
「そりゃ詳しいことは言えないよ」

生活保護は性善説で成り立っている

どういった方法が予想されるか。社会問題に詳しい弁護士の大城聡氏に聞いた。

「少なくとも虚偽申告をしているということにはなるでしょう。そもそも生活保護を受給している場合、収入があれば申告をしなければいけない。法の抜け道という話ではなく、ただ単にルールを破っている(=収入の申告をしていない)ことが見つかっていない、というだけの話のように思えます」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

商品市場が急落、次期FRB議長指名受けたドル高が圧

ビジネス

次期FRB議長、FOMC説得に「難しい舵取り」=ア

ワールド

米1月雇用統計、政府閉鎖で発表延期 12月雇用動態

ワールド

ゼレンスキー氏「エネ・インフラへの新たな攻撃なし」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 6
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 7
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中