最新記事

高収入世帯

パワーカップル世帯の動向──コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労

2021年12月6日(月)12時03分
久我尚子(ニッセイ基礎研究所)

視点を夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯に戻すと、パワーカップル世帯数は近年、増加傾向にある(図表7)。なお、2019年から2020年にかけての大幅な伸びは2021年以降の変化を考慮して判断すべきと考える。なぜならば、同調査の就業者夫婦の年収階級別世帯数の公表値は1万世帯単位であり、現在のところ、単位に対してパワーカップル世帯数が少ないためだ。いずれにせよ、新型コロナ禍の2020年においても増加傾向が続いていることは注目に値するだろう。

また、パワーカップル世帯の内訳を見ると、引き続き「夫婦と子」から成る核家族世帯が最も多く、2020年で約6割を占める。次いで「夫婦のみ」世帯で約3割を占める。

nissei20211202144105.jpg

3|夫の収入別に見た妻の就労状況~夫の年収が1500万円以上でも妻の約6割は就労

ところで、2017年の分析では、依然として、夫の収入が高いほど妻の就業率が下がるという「ダグラス・有沢の法則」が成立していた。

2020年のデータで改めて見ると、やはり夫の年収が400万円以上では夫の年収が高いほど妻の労働力率は低下し、依然として「ダグラス・有沢の法則」は成立している(図表8)。

一方で夫の年収によらず妻の労働力率は全体的に上昇傾向にあり、夫が高収入の世帯でも多くの妻が働くようになっている。例えば、夫の年収が1500万円以上の世帯では、2014年から2020年にかけて、妻の労働力率は48.8%から61.5%(+12.7%pt)へ、世帯数は20万世帯から32万世帯(+12万世帯)へと増えている。

nissei20211202144106.jpg

また、夫が高年収の世帯ではフルタイムで働く妻(週35時間以上就業の雇用者)もやや増えている。夫の年収が1500万円以上の世帯では、2014年から2020年にかけて、妻の労働力率は14.6%から17.3%(+2.7%pt)へ、世帯数は6万世帯から9万世帯(+3万世帯)へと増えている。なお、夫の年収が700万円以上の世帯に広げて見ると、妻の労働力率は17.4%から21.2%(+4.8%pt)へ、世帯数は78万世帯から114万世帯(+36万世帯)へと増えており、このうち約3割がパワーカップルである。

4――おわりに~遠回りに見えるが就労環境の整備こそ有効な消費喚起策

パワーカップルは現在のところ、共働き世帯の約2%に過ぎないがコロナ禍でも増加傾向にある。背景には、近年、仕事と家庭の両立環境の整備が進んだことで、出産後も正社員として働き続け、収入を大幅に減らさずにキャリアを積む女性が増え、若い世代でパワーカップルが増えていることがあげられる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英11─1月賃金上昇率、5年超ぶり低水準 失業率は

ビジネス

スイス中銀、政策金利ゼロに据え置き 過度なフラン高

ビジネス

マスク氏、エヌビディア製半導体の大口発注継続を表明

ワールド

中国、エネルギー安保で東南アジアと協力の用意ある=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中