最新記事

台湾

台湾軍、兵士を強化する外骨格パワードスーツを導入

Taiwan Unveils Exoskeleton Suit That Makes Soldiers Stronger on Battlefield

2021年10月28日(木)18時14分
エド・ブラウン
兵士のイメージ

中国との緊張が高まるなか台湾軍も備えに余念がない(写真はイメージ) gremlin-iStock

<重い荷物や負傷者を運ぶなどの任務で活躍する電動式>

台湾軍は、兵士が将来、戦闘や人道支援任務の際に使用できる電動式外骨格スーツを発表した。

外骨格とは、人間が持っているような体内の骨格ではなく、外側から体を支えたり守ったりする外部構造のことだ。

電動式外骨格については、何十年も前から研究が進められてきた。人間が重いものを持ち上げたり、起伏の多い地形を動き回ったりするのに役立つ可能性があるとして、軍や民間部門、医療現場での導入を念頭に研究が行われている。

台湾英文新聞によれば、新たな電動式外骨格スーツは、台湾国防部が10月26日に開いた記者会見の中でお披露目された。リチウム電池式で、国家中山科学研究院(NCIST)がデモンストレーションを行った。

この外骨格スーツは両足に装着するタイプ。人体の効率性を高め、また両膝をサポートすることで、兵士の下肢関節にかかる負荷を軽減する仕組みになっている。

台湾国防部が公表した写真を見ると、外骨格スーツは兵士の両足のすねと太ももに巻かれており、また腰にもつながっていて、ベルト状の装具が巻かれている。兵士が同スーツを装着した状態で、両手に重りを持ってスクワットをしたり、走ったりしている写真もある。

兵士の体力消耗を軽減

台湾英文新聞によれば、この外骨格スーツの総出力は40ニュートンメートルで、装着すると最大時速約6キロメートルで移動が可能で、総重量は10キログラム未満。また台北時報によれば、電池は最大6時間もつということだ。

次世代バージョンは総出力が50ニュートンメートルで、装着すると40~100キログラムのものを持ち上げることができるという。パワーアップする分、スーツ自体も重くなり、24キログラム程度になる見通しだ。

この外骨格スーツは、兵士たちが弾薬を運んだり、仲間を救助したりするなど、体力を消耗する任務を実行する際に役立つと考えられている。

NCISTの開発プロジェクト責任者である任國光によれば、同スーツは台湾軍に適したものにするために、105人の兵士に実際に装着させて試験を行ったということだ。現場への導入がいつになるかは、明らかになっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中