最新記事

SNS

ザッカーバーグ、人生最悪の週明け

Zuckerberg May Be Having the Worst Week of His Life and It Is Only Monday

2021年10月5日(火)20時39分
アンドリュー・スタントン
ザッカーバーグ

トラブル続きのザッカーバーグ 今後の対応は REUTERS/Erin Scott

<内部告発者のテレビ出演に加えてシステム障害によるサービス停止、さらには株価下落に加えて15億人分の個人情報流出のおそれも>

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)にとって、10月4日は人生で最悪の週明けだったかもしれない。

同社は今週、米連邦議会で開かれる公聴会での証言を予定しているが、それに先立ち、内部告発がテレビで放送された。内部告発を行ったのは、同社の元従業員フランシス・ハウゲン。彼女は、フェイスブックが対話より対立を煽り、10代の若者の繊細な心を食い物にするなどして利益を上げてきたことを示す内部文書をリークした。

2019年にフェイスブックに入社し、同プラットフォーム上に出回る偽情報への対処にあたってきたハウゲンは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に内部文書を提供。同紙が9月にこれを複数回にわたって報じたことを受けて、フェイスブックに対する批判が高まった。

さらにハウゲンは3日、CBSの報道番組「60ミニッツ」に出演。フェイスブックは、同プラットフォーム上の憎悪や暴力、誤情報に対処していると言っているが、それは嘘だと主張した。

暴力と扇動に関するコンテンツはほぼ野放し

彼女は番組の中で、「フェイスブックにいた頃、私は『人々にとっていいこと』と『フェイスブックにとっていいこと』の間で利害の衝突が起きるのを、何度も目にしてきた。そしてフェイスブックはそのたびに、自社の利益、つまり金儲けを優先してきた」と語った。

ハウゲンは、フェイスブックが2020年米大統領選の後に、誤情報に対処するチームを解散させたことを明かし、グーグルやピンタレストなど、他のデジタルメディア企業に比べて、誤情報の制限という点で「かなり劣っている」と述べた。

彼女が見たある内部文書には、「当社の推定では、当社がプラットフォーム上のヘイトスピーチに対応したケースは、わずか3~5%。暴力と扇動に関するコンテンツに対応したケースは、約0.6%だが、これでも世界最高水準だ」と記されていたという。また別の文書には、傘下のインスタグラムが10代の少女たちのメンタルヘルスにとって有害だとする調査結果が記されていたという。

フェイスブックに批判の声が殺到するなか、ザッカーバーグは3日、のんきにフェンシングやセーリングを楽しんでいる写真を投稿。ますます世論の反感を買った。そこへ大規模な障害が発生し、20億人を超えるユーザーが何時間もサービスを利用できない状態に。異例なことだというが、子会社のインスタグラムやワッツアップのサービスにも同時に障害が及んだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イスラエル、ラファ侵攻準備 民間人避難へテント調達

ビジネス

アングル:日銀会合直後の為替介入、1年半前の再現巡

ワールド

インドネシア中銀、予想外の0.25%利上げ 通貨下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中