自民党総裁選、金融市場からは「河野首相」の誕生を望む声が多数
The Markets Back Kono
OECD(経済協力開発機構)の「エコノミック・アウトルック(経済見通し)」によれば、日本経済の成長率は昨年のマイナス4.6%から今年は2.5%に持ち直し、来年もプラス2.1%程度と予想されている。だが、雇用は依然としてコロナ以前の水準を下回っており、主要な消費者物価の上昇率もマイナス圏にある。つまり、まだ「コロナ以前」の状態に戻れる見込みは立たない。
ちなみに河野は、日本の基準で言えばまだ「若手」かもしれないが、既に衆院議員を8期務めている。祖父の一郎は副総理だったし、父の洋平も(不運にして首相にはなれなかったが)自民党総裁を務めている。
いずれにせよ、9月29日の総裁選で誰が勝とうと、戦後の日本政治をほぼ支配してきた自民党に世代交代が起きるのは確実だ。河野と高市、そして野田はいずれも1960年代の生まれ。最年長の岸田も、1955年の自民党結党後の生まれだ。もしも高市か野田が勝てば、政権与党では初の女性党首となる。
そうして新世代が自民党を率いることになったとして、その先はどうだろう。すぐに総選挙があるから、新首相は自分の「実績」で勝負できない。しかも総選挙の争点は、自民党の得意とする経済ではなく、新型コロナ対策という公衆衛生の問題。さすがに大番狂わせはないだろうが、自らの政治理念を実現するためにも、油断は禁物だ。
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