最新記事

北朝鮮

北朝鮮に何が起こっているのか「巡航ミサイルでアメリカは脅せない」

China Says N. Korea Should Use Restraint to Reach Political Goals With West

2021年9月14日(火)17時20分
北朝鮮の新型巡航ミサイル

北朝鮮は新型巡航ミサイルの飛行距離は1500キロメートルだと主張している KCNA via REUTERS

北朝鮮が長距離巡航ミサイルの発射実験を行ったことを受けて、中国は北朝鮮に対し、ミサイルによる威嚇よりも「自制心を発揮する」ことで、西側諸国との関係打開を図るべきだと助言したと、AP通信が報じた。

AP通信は、北朝鮮が長年、核兵器の脅威を利用することで「アメリカと韓国の敵意」に対抗しようとしてきたと指摘。軍事的威嚇によって、自国に対する制裁を解除させ、経済支援を獲得しようともしてきた。

北朝鮮は先週、新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験を週末に実施して、週明けの9月13日に成功したと発表した。西側諸国を威嚇するのが狙いだ。

AP通信によれば、中国外務省の趙立堅報道官は記者会見で、このミサイル発射実験についての質問には答えず、「各国が抑制を保ち、同じ方向を向き、積極的に対話や接触を推し進める」ことを促すのみにとどめた。

以下にAP通信の報道を引用する。

バイデン米政権の対話呼びかけを拒絶

北朝鮮は新型ミサイルを「重要な意義を持つ戦略兵器」としており、核弾頭の搭載を意図して開発を行ったことをほのめかしている。

国際社会は北朝鮮に核兵器開発を断念させようとしており、長年、制裁と経済支援の両面から北朝鮮に影響を及ぼそうとしてきた。しかし、核開発問題をめぐるアメリカ主導の交渉は行き詰まっている。2019年に北朝鮮の最高指導者である金正恩と、アメリカのドナルド・トランプ大統領(当時)が行った米朝首脳会談の中で、北朝鮮側が老朽化した核開発施設の解体と引き換えに制裁の全面的な解除を要求したものの、アメリカ側がこれを拒否し、会談は物別れに終わった。

北朝鮮は3月、約1年ぶりに弾道ミサイルの発射実験を再開し、日本海に向けて2発の短距離ミサイルを発射した。米新政権の反応を伺うことがその目的とみられる。ジョー・バイデン米政権は北朝鮮に対話を呼びかけているが、北朝鮮側はアメリカが「敵対的な」政策を撤回しなければ対話には応じないとしている。敵対的な政策とは、アメリカによる対北制裁と、米韓の軍事的連携を指しているものとみられる。アメリカは韓国に、約2万8000人の米軍部隊を維持している。正式には今も戦争状態が続いている朝鮮半島において、北朝鮮に対する抑止力を維持するためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪ウッドサイド、年次総会で環境団体が抗議 株主の不

ビジネス

ニコン、前年の低迷から急回復へ 営業利益15倍に

ビジネス

午後3時のドルは143円後半で売買交錯、米英貿易協

ビジネス

三菱商事、三菱食品にTOB 1376億円で完全子会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 8
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中