最新記事

新型コロナワクチン

ワクチン3回目接種で高齢者の感染予防効果4倍に WHOは猛反対

Israel Says Vaccine Booster Provides 4 Times More Protection for Older People Than 2 Doses

2021年8月24日(火)16時24分
ナタリー・コラロッシ
3回目のワクチン接種を受けるイスラエル男性

イスラエルでは、60歳以上の高齢者の3分の1が3回目の接種を終えた(エルサレム、8月15日) Ronen Zvulun-REUTERS

<7月末から高齢者向けに3回目のブースター接種を行ってきたイスラエル保健省の発表だ。これで3回目のワクチン需要がますます増えそうだが>

イスラエル保健省は8月22日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの3回目(ブースター)接種を行うと、接種回数が2回だけの人と比べて、高齢者では感染や重症化を防ぐ効果が著しく高まるとする新たなデータを明らかにした。

今回のデータでは、60歳以上の人については、ブースター接種を受けてから10日が経った時点で、2回接種の人と比べて感染予防効果が少なくとも4倍にまで上昇するという結果が出たという。さらに、この年齢層の人に3回目の接種を行うと、10日後には重症化や入院を防ぐ効果が5〜6倍にまで増大したとのことだ。

この新たなデータは当初、8月19日に開催された保健省の専門家会合で提示され、22日に同省のウェブサイトにアップロードされた。だが、この研究の完全な詳細はまだ公開されていないと、ロイターは報じている。

60歳以上の高齢者は新型コロナウイルス感染症に関して特に弱いとされ、イスラエルでは7月末から、これらの年代の人たちはファイザー製ワクチンのブースター接種を受けることが可能になっている。8月に入り、同国の保健省は、対象となる年齢層のうち3分の1以上がすでに3回目の接種を受けたと明らかにした。

イスラエルは8月19日、ブースター接種を受けられる人の年齢を40歳以上にまで拡大した。同国はこれに加え、妊娠中の女性、教員、医療従事者については40歳に満たない場合でも3回目の接種が可能になると発表した。3回目の接種は、2回目の接種から少なくとも5カ月を経過したのちに実施するようにと指示されている。

アメリカは全国民対象に

アメリカも最近になって、すべてのアメリカ国民を対象に9月末からブースター接種を開始する計画を発表した。しかしガイドラインでは、ファイザー製とモデルナ製、どちらのワクチンを受けた場合も、2回目の接種から少なくとも8カ月を経てからブースター接種を受けるようにと定めている。

米保健当局はこの間隔の設定について、重症化を防ぐワクチンの効果が薄れていく時期に関して、現段階でわかっている知見を反映したものだと述べた。一部の専門家は、2回目の接種から8カ月を経ないうちにブースターを接種しても、あまり効果がないとの見方を示している。

米保健福祉省(HHS)は8月18日に発表した声明で、以下のように指摘した。「現在得られているデータでは、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染を防ぐ効果は、当初の2回のワクチン接種の後、時間の経過とともに減少することが非常にはっきりと示されている。さらに、デルタ株が優勢になるにつれ、軽度および中程度の症状を防ぐ効果が弱まっているとのエビデンスも出始めている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-米中気候特使、5月にワシントンで会談

ワールド

トランプ氏に罰金9000ドル、収監も警告 かん口令

ビジネス

ECB、6月利下げ開始の確信強まる インフレ指標受

ビジネス

米インフレは低下、コスト低減へ一段の取り組み必要=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 9

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 10

    日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退──元IM…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中