最新記事

中国

中国の対米報復制裁は北京冬季五輪ボイコットを招くか?

2021年7月25日(日)06時39分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
米中外交高官によるアラスカ会議(3月18日)

米中外交高官によるアラスカ会議(3月18日) Frederic J. Brown-REUTERS

7月23日、中国は対米報復制裁を発表したが、これは25日の米国務副長官訪中に際して、3月のアラスカ会議直後の対中制裁に対するお返しのつもりだろう。中国の報復制裁に対し、バイデン政権は北京冬季五輪ボイコットに踏み切れるか?

中国が「反外国制裁法」に基づいて対米報復制裁を発表

東京では東京2020大会の開会式が開かれている最中の7月23日、中国外交部は定例記者会見で記者の質問に対して「反外国制裁法」に基づき、対米報復措置を発表した

これは7月16日(アメリカ時間15日)にバイデン政権が「米企業に対し香港で事業を展開するリスクについて警告する文書」を公表し、香港に駐在する「香港中聯弁公室(中国人民政府駐香港特別行政区聯絡弁公室)」の副主任7名(陳冬、何靖、盧新寧、仇鴻、譚鉄牛、楊建、尹宗華)に対して制裁を科すと発表したことへの報復措置である。

中国外交部の趙立堅報道官は当日直ちに定例記者会見で「中国政府はアメリカによる香港問題への干渉に断固として反対する。香港の問題は純粋に中国の内政問題であり、如何なる国にも内政干渉する権利はない」と指摘した上で「必ず、それ相応の対応をする」と、ロイター社の質問に答えていた。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」電子版も同様のことを伝えていた

しかし、記者会見ではロイター(路透)社の質問が最後にあったので、回答が不十分だと思ったのだろう、また例によって「誰かが質問した」という形を取って、翌日、改めて執拗に報復措置を考えていることを表明している

23日に外交部が発表したのは、その報復措置を指し、以下の7つの個人と組織が制裁対象に含まれている。

1.ウィルバー・ルイス・ロス(トランプ政権時代の元商務長官)

2.キャロリン・バーソロミュー(米連邦議会「米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)」委員長)

3.ソフィー・リチャードソン(国際人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ)

4.ジョナサン・スタイバーズ(中国問題に関する米連邦議会「行政府委員会(CECC)」の元スタッフディレクター)

5.ドユン・キム(全米民主国際研究所のメンバー。香港の民主活動家と直接の接点)

6.アダム・キング(米国国際共和研究所の香港代表)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中