最新記事

ロシア

元海兵隊のアメリカ人女性、ロシアで殺害 犯人は白タクの運転手か

Body of Ex-U.S. Marine in Russia Found after Messaging Mom 'I Hope I'm Not Being Abducted'

2021年6月21日(月)15時35分
ブレンダン・コール
ロシア警察のエンブレム

ロシア警察は大規模な捜査の末遺体を発見し、容疑者を逮捕した Dzurag-iStock

<異国で拾った白タクが不運にも殺人者だった?  遺体で発見されたアメリカ人留学生は車中からアメリカの母親に、「誘拐ではないといいけど」とメッセージを送っていた>

ロシアの大学で学んでいた元米海兵隊員キャサリン・ セロウ(34歳)が行方不明になり、数日後に遺体が発見された。

セロウはモスクワから東へ400キロほどのところにある商業都市ニジニ・ノブゴロド郊外に住んでいたが、6月15日の夜、家から出て身元不明の人物が運転する車に乗り込んだ後、連絡が途絶えた。

遺体が発見される前、ミシシッピ州ビックスバーグに住む母親のベッキー・セロウは、米ナショナル・パブリック・ラジオ (NPR)の取材に対し、娘から「知らない人と一緒に車に乗っている。まさか誘拐犯ではないと思うけど」という不穏なメッセージを受け取っていたことを明かした。

キャサリンは急いで診療所に行こうとしていたので、ウーバーのタクシーを待たずに、ヒッチハイクした車に乗ったのかもしれない、とベッキーは語った。

ロシアで移民専門の弁護士を目指していた セロウ


「その車が診療所の方向に向かわず、森に入っていったとき、娘はパニックになったと思う。娘の電話の電波はそこで消えた」

セロウの失踪は犯罪として捜査が始まり、大規模な捜索活動が行われた。

ソーシャルメディアで公開捜査が呼びかけられ、100人以上のボランティアが郊外の森林をくまなく捜索した。

海兵隊のスキルも役に立たず

地域の調査委員会は、19日に声明を出し、捜索の末、「女性の遺体が発見された」ことを発表した。

そして1977年生まれの男が、殺人容疑で逮捕されたと述べた。この男はかつて「重大な」犯罪で有罪判決を受けていたという。

キャサリン・セロウは、2019年にロシア市内のロバチェフスキー大学に入学し、法学修士課程に在籍していた。ロシア語を学び、移民問題専門の弁護士をめざしていた。

セロウはカリフォルニア大学で美術史の修士号を取得した後、海兵隊に所属し、アフガニスタンに派遣されたこともある。

ベッキーは、海兵隊員として学んだサバイバル技術で、娘が生き延びることを望んでいたと語った。

ベッキー・セロウにインタビューしたNPRのルシアン・キム記者は19日、以前キャサリンがロシア語と英語で地元のニュースチャンネルのインタビューに答えたときの動画をツイッターに投稿した。

キムはさらに、キャサリンの失踪は「5年前にNPRでロシアに関する報道を開始して以来、これまでで最も心をかき乱された事件」とツイッターでコメント。キャサリンの事件は「大きな期待を抱いてロシアを訪れたアメリカ人の若者の物語であり、何千キロも離れたところで起きた悲劇に耐える母親ベッキーの精神的試練の物語でもある」と、説明した。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中