最新記事

米司法

再選出馬に逆風?トランプ経営企業に刑事訴追の可能性

Trump Org. Criminal Prove—What We Know About Parallel Investigations

2021年5月20日(木)18時37分
イワン・パーマー

マンハッタン地検も2019年から捜査を進めてきた。

地検は過去にトランプとその会社を銀行詐欺と保険金詐欺の疑いで捜査していると示唆したことがあるが、大陪審の守秘規則を理由に、詳細を明かさなかった。CNNによると、地検はトランプの納税申告書も含め膨大な書類を精査してきたという。

地検の捜査は、トランプ・オーガニゼーションで長年、最高財務責任者(CFO)を務めてきたアレン・ワイセルバーグへの事情聴取を中心に進められてきたとみられる。ワイセルバーグは民事捜査でも司法当局に召喚され、AP通信によれば2020年に2回証言を行っている。

トランプ個人に何らかの容疑がかけられているのか、またトランプ・オーガニゼーションの不正行為に対し、トランプに法的責任があるかは不明だ。

ホワイトハウスを去った今、トランプはもはや免責特権に守られておらず、証拠が固まれば、起訴される可能性がある。そうなれば当然、次期大統領選での「政権復帰プラン」にも影響が及ぶ。

トランプはいまだに前回の大統領選での敗北を認めず、ジョー・バイデン陣営が大掛かりな不正投票を仕掛けたと主張し続け、2024年の大統領選への再出馬の意欲をちらつかせている。

別件捜査も進行中

トランプの弁護士だったコーエンは、2016年の大統領選の前にポルノ女優のストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)にトランプとの不倫疑惑について口止め料を払った件に関し、連邦議会における偽証罪と選挙資金法違反で有罪となり、懲役3年の刑を言い渡された。服役中にコロナ禍で早期釈放され、現在は自宅拘禁中だ。

そのコーエンが5月18日にツイッターでこんな発信をした。「ニューヨーク州司法長官事務所とマンハッタン地検が書類を精査するにつれ、ドナルド・トランプは窮地に追いやられる!ドナルドと仲間たちが自らの犯した行為の責任を取らされるのは時間の問題だ」

一方ジョージア州フルトン郡の検察当局も、別件でトランプに関する捜査を進めている。2020年の大統領選で、州の選挙結果に影響を及ぼそうとした疑いが持たれているのだ。

フルトン郡のファニ・ウィリス首席検事は、ジョージア州のブラッド・ラッフェンスバーガー州務長官とトランプとの通話の録音内容を調査している。その電話でトランプは不正投票があったと根拠なく言い張り、選挙結果を覆すために必要な「1万1780票を見つける」必要があると主張。州務長官に圧力をかけたとみられている。

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中