最新記事

米中関係

ケリー特使訪中──アメリカ対中強硬の本気度と中国の反応

2021年4月13日(火)22時50分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

ケリー米大統領特使(右、写真は政権移行期間中の昨年11月24日) Joshua Roberts-REUTERS

アメリカのケリー気候変動特使が14日に訪中するようだ。その真意はどこにあるのか?アメリカの対中強硬姿勢は本物なのか。中国の反応を含めて考察しようとしたところ、とんでもない結果が待っていた。

ケリー特使訪中に関する報道

4月11日、アメリカのワシントン・ポストはケリー大統領特使(気候変動問題担当)が週内に中国を訪問すると報じた。訪問地は上海で、解振華・中国気候変動事務局特別代表と会談するとのこと。もし実現すれば、バイデン政権では初めて訪中する高官となる。ワシントン・ポストによれば、アメリカが4月22日と23日に「気候変動サミット」を主宰するので、中国に協力を求めるためだという。

本日(13日)の報道によれば、どうやらワシントン・ポストの報道は正しく、14日に上海に行くようだ。

日本の一部メディアは、「中国側には深刻になっている米中関係の改善に向けた糸口を探るねらいがあるとみられる」と勝手な憶測をしているが、本当だろうか?

ケリーに関する中国での報道

ケリーに関する中国での大きな報道の一つは、2月4日にさかのぼる。この日ケリーが大統領特使として、初めて中国に関して言及したからだ。

ロイター電によれば、ケリーは以下のように述べているという。

――私は間もなく解振華(Xie ZhenHua)と会うでしょうが、彼は地球温暖化問題における中国の「リーダー」であり「強力な推進者」です。私は解振華とは20年ほど一緒に仕事をしてきたので、彼のことはよく知っています。彼は2007年から2018年まで、世界の気候変動交渉において中国代表団を率いていました。バイデンは、前任者であるドナルド・トランプが地球温暖化に取り組む国際的な気候協定であるパリ協定から米国を脱退させた後、米国を再びパリ協定に戻しました。

2014年に米国と中国が気候変動問題で提携したことは、バイデンが副大統領だった2015年のパリ協定の仲介に極めて重要な役割を果たしたと思います。解振華氏は長い間リーダーであり続けました。私たちはお互いを知っており、これまでの互いの努力に互いが敬意を払っていると私は思っています。(以上、引用)

このようにケリーは、今回会うことになっている解振華を褒めちぎっている。それも尋常ではない褒めようだ。

それもそのはず。3月23日に中国とEUおよびカナダが主催するオンラインでの第5回気候行動に関する閣僚会議(Ministerial on Climate Action=MOCA)に、アメリカは久々に戻ってきて「参加させてください」という立場にあったからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

上海市政府、データ海外移転で迅速化対象リスト作成 

ビジネス

中国平安保険、HSBC株の保有継続へ=関係筋

ワールド

北朝鮮が短距離ミサイルを発射、日本のEEZ内への飛

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中