最新記事

英王室

メーガン妃のまことしやかな被害者談に惑わされるな

Misleading and Manipulative

2021年3月17日(水)17時00分
ナイジェル・ファラージュ(英国改革党党首)

それでもウィンフリーの前では被害者の仮面をかぶり、アメリカ政府の同情を買うことにも成功したようだ。しかし発言の多くは不正確で、大いに疑わしい。交際が深まるまで「夫のことをネット検索したことはない」などという言葉を、誰が信じるものか。

ウィンザー城での挙式の3日前に、実はカンタベリー大主教と夫妻だけで式を終えていたという話も、にわかには信じ難い。そもそも英国教会の規則では、式には少なくとも2名の証人の列席が必要とされている。

さらに、息子のアーチーに王子の称号が認められないことについて、「王族に初めて加わる有色人種の子に、ほかの孫たちと同じ称号を与えないとは......」うんぬんと当てこすった。ご冗談を。アーチーに王子を名乗る生得権はない。長男ウィリアムの子はHRH(殿下・妃殿下)の称号を持つ王子や王女だが、次男ヘンリーの子アーチーは違う。HRHを名乗れるのは王位継承の直系に生まれた王族のみとする1917年の明文規定は今も生きている。

そして王族の人種差別を非難したメーガンの発言。これは大問題だ。英連邦には23億の民が属するが、その多くはアジアやアフリカの人々だ。その頂点に立つ女王陛下が身内の人種差別を許すものか。

メーガンの話は、少なく見積もっても疑わしい。彼女の名演技や利己的な夫に、たぶらかされることなかれ。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

都区部CPI、12月は+2.3%に大幅鈍化 エネル

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教

ビジネス

鉱工業生産11月は2.6%低下、自動車・リチウム電

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、個人の買いが支え 主力株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中