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バイデン政権の本音か? 米中電話会談、「一つの中国」原則に関する米中発表の食い違い

2021年2月8日(月)19時48分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

バイデン大統領も対中政策に関しては、激情的な言動を別にすれば、トランプ路線を受け継ぐと宣言しており、今もまだ主要国の中で習近平国家主席とだけは電話会談をしていない。また2月4日には、中国を「最も重大な競争相手」と位置づけ、安全保障や人権問題に関して対中強硬を続けていくことを強調している。

しかし、本当にそうだろうか?

バイデン政権の本音は?

もしブリンケンが楊潔チとの電話会談で「一つの中国」原則を遵守しますと言ってないのなら、なぜ反論しないのか?

反論しないところを見ると、本当は中国の外交部ウェブサイトに書いてある通り、ブリンケンは中国に従順な姿勢を見せたのではないのか?

これが実はバイデン政権の本音ではないのか?

もしそうだとすれば、バイデン政権のこのようなダブルスタンダードを看過するわけにはいかない。日本の「習近平国賓招聘」を唱える親中派を喜ばせるばかりだ。

しかし今後のアジア情勢にとって、これほど大きな盲点はない。

日本の大手メディアも(私の知る限りでは)、この点を突いていないように思われる。

徹底して究明し、明らかにさせていくべきではないのだろうか。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

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