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バイデンvs中国

米中関係は「多次元方程式」に、日本外交のサバイバル戦略は?

JAPAN’S SURVIVAL PLAN

2021年1月29日(金)12時00分
宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、元外交官)

日本は「米中間のバランスをいかに取るべきか」と最近よく聞かれるが、そうした発想自体が間違っている。冷戦終了後に東アジアの戦略的安全保障環境は激変し、自由で開かれた国際秩序と普遍的価値に対する中国の挑戦は既に始まっている。資源の乏しい海洋国家・日本はこうした秩序と価値から最も利益を得る国だ。であれば今こそ日本外交は、いかに現状を維持しつつ生き残るかを真剣に考えるべき時である。

その意味では、安倍外交も菅外交も目指すべきところは同じ。日本外交の基本は、米豪印などとの同盟・友好関係を強化した上で、中国への「関与と抑止」を続け、インド・太平洋地域で安定した国際秩序を維持することに尽きるからだ。今後は安全保障面での日米間の新たな役割分担を模索しながら、駐留軍経費負担や中距離ミサイルの配置などの個々の問題を処理していくことになる。

日本の座標軸は「日米対中国」でなく、「普遍的価値を共有する国際社会対中国」だ。この視点で独自の戦略を持つ必要がある。

<2021年1月26日号「バイデンvs中国」特集より>

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