最新記事

感染予防

高所得者ほどコロナ感染対策を実施、米調査

2021年1月19日(火)16時45分
松丸さとみ

コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかをアメリカで調査...... Prostock-Studio -iStock

<米ジョンズ・ホプキンス大学が、マスク着用や手洗いなど、コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかを調査した...... >

経済状況で感染予防策に違いが

新型コロナウイルス感染症の世界各地での感染者数データでおなじみの米ジョンズ・ホプキンス大学が、マスク着用や手洗いなど、コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかを調査した。このほど公開された結果によると、所得が多い方が感染予防策を取る傾向が高かったことが分かった。論文は人口経済学の専門誌ジャーナル・オブ・ポピュレーション・エコノミクスに掲載されている。

同大学が今回の調査で使用したデータは、米コーネル大学のミシェル・ベロ教授などが昨年4月15〜23日に、米国、英国、イタリア、中国、韓国、日本の6カ国で各1000人を対象に行った調査のうちの米国1000人分。実施したのはカリフォルニア、フロリダ、ニューヨーク、テキサスの4州で、人種比率などは同国の人口に沿ったものだという。

今回の分析で米国を選んだ理由は、新型コロナについて全米での一貫した政策がなく州ごとの対応になっていることや、地域によって感染状況が大きく異なること、社会経済が不均衡であることなどから、個々人がそれぞれどう対応しているかを調べられるためだと調査チームは説明している。さらに、経済の不均衡は他の国にもあるため、経済状況の違いによる感染予防策の違いなどについて、他国も本調査から学ぶことができるとしている。

米国ではちょうど昨年4月、新型コロナの感染者数が爆発的に増え始めた。こうした状況の中で、「手を洗う」「食事に気を使う」「屋外/屋内の場所に足を運ぶ」「家族や友人宅を訪ねる」といった15種類の行動様式が、パンデミック(世界的な大流行)の前、パンデミック開始時期、パンデミック開始から数週間後、の間にどう変わったかを聞いた。

高所得者は感染予防策を取る確率が54%アップ

パンデミックに際して、何らかの感染予防策を講じているかとの問いに対し、回答者の約88%がしていると答えた。年収別に回答者を5つのグループに分け、もっとも高所得である年収23万ドル(約2390万円)程度の人たちを、もっとも低所得な1万3000ドル(約135万円)程度の人たちと比較した場合、高所得の人たちは、感染予防策を講じる傾向が最大で54%高かった。

さらに、パンデミックに伴い、1.何かしらの感染予防策を取るようになった、2. 対人距離を取るようになった(公共の場を避ける、家族や友人宅へ行くのを避ける、外出を減らすなど)、3. 手洗い・マスクをするようになった、の3つに分けた。これらの質問は、感染予防策をコスト面から見るもので、比較的に、2はコストがかかり、3は安価で実行できるものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる

ワールド

米空母、南シナ海から西進 中東情勢緊迫化

ビジネス

ECB、政策の柔軟性維持すべき 不確実性高い=独連

ワールド

韓国、対米通商交渉で作業部会立ち上げ 戦略立案へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中