トランプ、大統領就任から4年で「分断国家と不安定化した世界」を残して去る
議事堂乱入事件以来、支持者の一部はトランプ氏から離反したが、ほとんどは支持を変えていないようだ。ロイター/イプソスが乱入事件の直後に実施した調査によると、共和党ではトランプ氏支持が70%に達していた。
一方、反トランプ派は、金持ちのトランプ氏は支持層である労働者や貧困層を少しも助けなかったと主張する。トランプ氏は数百万人の国民が健康保険に入るのを助ける「オバマケア」の廃止を繰り返し求めた。中国との関税合戦は米国の農家を痛めつけ、国内の製造業を回復させる契機にはならなかった。大規模減税の恩恵を受けたのは主に富裕層だ。
共和党にトランプ氏の呪い
米国で初めて大統領として2度の弾劾訴追を受けたトランプ氏の大統領退任で、共和党は先行きが極めて不透明になっている。
トランプ氏は共和党のイメージを自分の色に塗り替えた。緊縮財政や国際的な同盟への支持といった伝統的な保守派の原理に取って代わったのは、巨額の財政赤字、「米国第一主義的」なアプローチ、ツイッターへの投稿による度重なる政策変更などだ。
今や上院で野党に転じた共和党は、トランプ氏が共和党に掛けた呪いと「トランピズム」は同氏の大統領退任後も続くのか、という疑問を突きつけられている。
トランプ支持層は選挙における力を維持しており、同氏の大統領選での得票数は約7400万票と共和党候補として過去最高だった。下院では共和党議員の半数近くがバイデン氏の勝利認定を阻止する動きを支持し、党内でトランプ支持層を敵に回すことへの不安が強いことが浮き彫りになった。
ただ、議事堂乱入事件で共和党指導部には亀裂が生じており、共和党は自己省察の時期に入っているのかもしれない。マコネル院内総務は19日、議事堂乱入事件について、「大統領や他の有力者があおった」と述べた。
トランプ氏自身の政治面での未来も危機に瀕する可能性がある。上院の弾劾裁判で有罪になれば二度と大統領には就けないかもしれない。
共和党重鎮のボブ・コーカー氏は、トランプ氏は共和党が目指す政策の多くを実行したという点で「重要な大統領」だったが、大統領選の進め方は「意図的に分断を招き、虚偽を永続化する」もので、「米国の民主主義を弱体化させた」と指摘した。
コーカー氏は、共和党は「トランプ氏が導くのとは違う方向に」進む必要があるとし、「自分たちを再定義しなければならない」と語った。
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