最新記事

アメリカ政治

トランプロスの共和党重鎮、「彼には共和党の指導者であり続けてほしい」

Graham Thinks Trump Will Remain Strongest Voice in Republican Party

2021年1月21日(木)15時17分
ニコール・ファラート

1月20日、アンドルーズ空軍基地で退任式を終え、大統領専用機に搭乗するトランプ夫妻 Carlos Barria-REUTERS

<「議事堂に乱入したのはトランプ支持者のごく一部で、少数の暴力のために7400万の民意を無視してはならない」と、トランプ人気への未練を語る>

ドナルド・トランプ前米大統領は今後何年も共和党を代表する「最強の声」であり続ける──米共和党の重鎮リンゼー・グラム上院議員は1月20日、FOXニュースのトーク番組でそう力説した。

ジョー・バイデン新大統領の就任式が行われたこの日、トランプはホワイトハウスを後にして、メリーランド州アンドルーズ空軍基地で行われた退任式で演説。4年間の成果を自画自賛した後、「何らかの形でまた帰ってくる」と支持者らに別れを告げた。

グラムはトランプが欠席したバイデンの就任式に出席したが、FOXニュースの番組では、トランプは共和党を恒久的に変えたと語り、共和党の分裂を回避するため、上院で行われるトランプに対する弾劾裁判の開始を阻止する考えを明らかにした。

「わが党のメンバーなら、わが党がどういう党か分かっているはずだ。ドナルド・トランプを党から消し去ろうとすれば、その人間が消し去られる。大半の共和党員はトランプの政策を支持し、多くの共和党員は彼のスタイルを支持している。時として個人的に彼に失望した者も多くいるが、彼がわが国のために達成した数々の成果は、彼らも認めている」

トランプの離党を否定

1月6日にトランプ支持者らが連邦議会に乱入した事件を受け、共和党内ではトランプへの忠誠をめぐり亀裂が深まっている。下院共和党ナンバー3の地位にあるリズ・チェイニー議員はトランプに対する弾劾決議案に賛成票を投じ、トランプ流保守に決別する意思を明らかにした。民主党が上下院を制した今、こうした造反の動きにより、共和党は「イメージの危機」に直面している。

FOXニュースの番組ホストに、トランプが共和党を離党し、新党を結成する可能性はあるかと聞かれたグラムは、「そうはしないと思う。共和党の指導者であり続けて欲しい」と答え、「トランプの共和党」が達成した過去4年間の成果を並べ立てた。軍備の強化、連邦最高裁判所に保守派の判事3人を送り込んだこと、国境警備の強化、中東政策を主導したことなどだ。

「トランプ(前)大統領は彼のレガシーと最善の未来が共和党にあることを理解しているはずだ」

だが上院で弾劾裁判が始まれば、トランプが共和党を去る可能性があるため、あらゆる手立てを尽くして審理開始を阻止するつもりだと、グラムは語った。その言葉どおり、民主党のチャールズ・シューマー上院院内総務に手紙を送り、弾劾裁判によってトランプの公職資格を剥奪し、4年後の大統領選出馬を阻むことは「憲法に違反する政治的な報復行為」だと警告している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中