最新記事

インターネット

ウィキペディア誕生から20年、今や「もっとも信頼できる」サイトに?

2021年1月21日(木)16時35分
安部かすみ

「ウィキペディア」の共同創始者ジミー・ウェールズ REUTERS/Vincent West

<ウィキペディアが誕生から20年、かつては内容の信憑性が問題になることがあったが、「オンライン上で安全な場所」として認められつつあるという......>

Wikipedia(ウィキペディア)が誕生から20年を迎えた。今や、検索エンジンではトップページに上がることがほとんどで、もはや知らない人はいないほどの存在だ。

今年に入ってからも、ウェブ分析サイトAlexaの「世界でもっとも人気のあるウェブサイト」のトップ15~20の1つにランクインするなど、名実ともにインターネットを象徴するウェブサイトとして大成長を遂げた。

5年以上も掲載されていた虚構記事もあった

ウィキペディアはオープンコラボレーション形式のオンライン百科事典で、2001年1月15日にジミー・ウェールズ氏とラリー・サンガー氏によってアメリカで設立され、非営利のウィキメディア財団によって運営されている。多言語展開し、日本に上陸したのは同年5月のこと。投稿数は5500万本で、アクティブの編集者は月27万人、編集回数は10億回を超えている。

ウィキペディアの編集者は同サイトでの経験や実績が豊富であればあるほど優先されるシステムだが、誰もがボランティアとして編集することができるため、内容の信憑性とバイアスなどは、長らく議論の対象となってきた。

意図的で悪質な虚偽・虚構の記事、思い込みによる勘違いや陰謀論などは、特に厄介な問題だ。ウィキペディアによると、いたずらや虚偽の投稿は5分以内に削除されることが多いというが、例外もある。例えば、ビコリム戦争(Bicholim conflict)という史上で実際に存在しない戦争が、英語版に2007年から5年以上も掲載されたことがあり、話題になった。

「ウィキペディアが最も信頼できるサイトになりつつある」と米紙

先月のIPO以来、新ビリオネアとしてアメリカで話題になっているルミナー社(自律走行車のセンサー開発)の25歳CEO、オースティン・ラッセル氏も「自分の知識はウィキペディアとユーチューブから」と発言するなど、デジタルネイティブのZ世代には、情報を獲得するにあたり、ひじょうに大きな存在となっている。

ウィキペディアも「信頼できる情報源」を目指し、開始以来さまざまな改良を重ねてきた。その結果、誕生から20年にして「オンライン上で最も安全な場所として認められつつある」とワシントンポスト紙が報じた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

エルサルバドルへの誤送還問題、トランプ氏「協議して

ワールド

米民間セクター代表団、グリーンランドを今週訪問 投

ビジネス

伊プラダ第1四半期売上高は予想超え、ミュウミュウ部

ワールド

ロシア、貿易戦争想定の経済予測を初公表 25年成長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中