最新記事

戦争犯罪

豪中炎上のフェイク画像を作成した過激アーティストが中国の「国民的英雄」に

Chinese Artist a National Hero After Australia War Crimes Tweet Causes Row

2020年12月3日(木)16時30分
ジョン・フェン

「烏合麒麟」は1日、中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」にエッセーを寄稿し、問題となった偽画像は11月23日にフォトショップを使って作成したものだと認めた。彼は、オーストラリアの国家元首が自分の作品に異議を唱えるなんて「信じられなかった」とし、モリソンは自分よりもオーストラリアの政府と軍に怒りの矛先を向けるべきだと書いた。

また「烏合麒麟」は、11月にオーストラリア国防軍(ADF)が、アフガニスタン戦争中に特殊部隊が犯した戦争犯罪についての調査結果を発表した報告書から「インスピレーションを得て」画像を作成したことも明らかにした。ADFの報告書は、2005年から2016年にかけて、ADFの特殊部隊がアフガニスタンで囚人や民間人、少なくとも39人を殺害していたという内容だった。

「もちろん、画像に表現した要素や光景は実際に起こったことではない」と「烏合麒麟」は環球時報に書いた。「オーストラリア軍の兵士が、実際にオーストラリアの国旗の上に立っていた訳でも、子羊を抱えたアフガニスタンの子どもの頭を国旗で覆った訳でもない」。そう説明した上で彼は、画像はADFの報告書に書かれた「事実に基づいて」創作したものだと説明し、画像を見る人々は、それが実際の写真かどうかに注目するのではなく、その「内容」に目を向けるべきだと述べた。

両国関係は既に悪化していた

オーストラリアと中国の関係は、この画像が投稿される前から冷え込んでいた。中国政府が11月27日に、オーストラリア産ワインに同28日から107~212%の追加関税を課すと発表したためだ。ほかにも中国はオーストラリア産のロブスター、大麦、石炭や砂糖を標的に輸入規制を強化しており、両国の政治的緊張は高まっている。

オーストラリアは自国産ワインへの追加関税措置を受けて、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴することも検討するとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻

ワールド

米、ウクライナの長距離ミサイル使用を制限 ロシア国

ワールド

米テキサス州議会、上院でも選挙区割り変更可決 共和

ビジネス

植田日銀総裁「賃金に上昇圧力続く」、ジャクソンホー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も 
  • 4
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 5
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    【独占】高橋一生が「台湾有事」題材のドラマ『零日…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 9
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中