最新記事

感染症対策

気になる日本のコロナワクチン接種は来年4月以降か 「原則居住地で医療機関を事前予約」

2020年12月10日(木)18時20分

厚生労働省は、保管する冷凍庫1万0500台を国が確保するなど、日本国内における新型コロナウイルスワクチンの接種体制をまとめた。写真はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで4日撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

厚生労働省は10日、保管する冷凍庫1万0500台を国が確保するなど、日本国内における新型コロナウイルスワクチンの接種体制をまとめた。来年前半までに全国民に供給できる数量のワクチンを確保し、原則として居住地の市町村で接種。事前に予約した医療機関のほか、市町村が設置する会場で行う。

ワクチンの接種・流通体制に関する部会終了後、厚労省幹部は会見で「国民全員を目指して接種体制を組む。できるだけ早く国民に届けたい」と述べた。

米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナのワクチンは、英国で8日に接種が始まったが、日本では国内の臨床試験や承認の手続きを経る必要があり、これまで厚労省では「年度内(2021年3月末まで)に準備をしなければならない」としている。

ワクチンの接種体制は、国の指示のもと市町村が対象者に「接種券(クーポン券)」を送付し、接種者はそれを医療機関に持参して接種を受ける仕組みとなる。接種者は、公開されたサイトから居住地の予約可能な医療機関を選んで事前に予約する。

クーポン券は、まず高齢者、次に高齢者以外の基礎疾患を持つ人に配布される。医療従事者はそれぞれの従事する医療機関や提携医療機関で接種する。

ワクチンの流通体制に関しては、冷凍状態でワクチンを保管するため、マイナス75度の冷凍庫を3000台、マイナス20度のもの7500台を国が確保し、人口をもとに各自治体に割り当てる。保冷ボックス用のドライアイスも国が一括で調達し、医療機関に供給する。接種費用は国が負担する。

ワクチンの配分量は国と自治体が決定し、医療機関などに納入する。地域ごとに流通を担当する卸売業者を設ける。

政府はこれまでに2億9000万回分のコロナワクチンの供給を受けることで製薬会社と合意。このうち米モデルナとは5000万回分を契約。米ファイザーと英アストラゼネカとはそれぞれ1億2000万回分の最終契約に向け、今後協議を進める。

東京都は10日、新たに602人の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。初めて600人を超え、過去最多となった。

(宮崎亜巳、久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、南ア・印・ブラジル首脳と相次ぎ電話協議

ワールド

中欧向けロシア原油が輸送停止、ウクライナが輸送管攻

ワールド

トランプ氏「紛争止めるため、追及はせず」、ゼレンス

ワールド

中国首相、消費促進と住宅市場の安定を強調 経済成長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    あまりの猛暑に英国紳士も「スーツは自殺行為」...男…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中