最新記事

中東

サウジアラビア、バイデン政権に備えムスリム同胞団の弾圧急ぐ

2020年11月25日(水)10時17分

シェイフ・イスラム問題・布教・指導相はテレビインタビューで、同胞団メンバーを当局に通報するよう国民に呼びかけ、「これは宗教的な義務だ。通報しない者は皆、彼らと同類だ」と語った。

サウジの最高宗教組織、高位聖職者評議会も国民に対し、同胞団に参加したり、メンバーに「共感」を持ったりしないよう警告を発した。

全国的に、祈りの際の説教にも同様の内容が取り入れられた。

爆弾攻撃

紅海沿岸の都市ジェッダで最近、治安問題が2件発生し、先週は外国人を狙った爆弾攻撃が数年ぶりに起こった。爆弾攻撃については「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、他の治安問題や同胞団との関係はなかったが、これらの事件の後に同胞団の弾圧が始まった。

オックスフォード大のエリザベス・ケンドール氏は、サウジとしては過激派との対峙に注目を集めることが「役に立つ」と言う。予想通り米次期政権がサウジの人権抑圧を問題視した場合、計画的な弾圧を正当化するのに使えるからだ。

「サウジの新たな運動は、自らをテロリズムの犠牲者と位置づけるのに役立つ」とケンドール氏は言う。

米ブルッキングス研究所のシャディ・ハミド氏は、サウジはトランプ政権の残り2カ月間を有効活用する構えだと指摘。「バイデン大統領の下で監視が強まる前に、体制の持つ独裁主義を最大限に」活用する意向であり、「ゴールに向けた猛ダッシュのようなものだ」と話した。

(Aziz El Yaakoubi記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中