最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選挙めぐりトランプが募る法廷闘争募金 大半の使途は「その他」、その実態は──

2020年11月15日(日)12時02分

派手な生活を補助

トランプ氏は投票日後、特にここ数日は1時間に1本のペースで献金を募る電子メールを出した。送り主の名前は「選挙防衛特別チーム」や「公的選挙防衛基金」。当初、開示文書には、トランプ氏が献金の大きな割合を、陣営の債務返済に充てると記されていた。

しかし陣営の財務担当者であるブラドリー・クレート氏が9日、「セーブ・アメリカ」委員会に加わると、開示文書の文言は変更された。クレート氏はコメント要請に答えていない。

使途が厳しく管理される選挙資金と異なり、「セーブ・アメリカ」のようなリーダーシップPACには制限が少ない。共和、民主両党ともに、こうした資金を設立者などの家族の費用や、派手な場所での贅沢なイベントに充てたと批判を浴びたことがある。

選挙資金改革を求める2団体が18年に出した報告によると、一部のリーダーシップPACは「献金者がひねり出したわずかな資金」をてこに、政治家の「派手なライフスタイルを補助する」機関と化した。

連邦選挙委員会の元総務会長、ラリー・ノーブル氏は、トランプ氏が「セーブ・アメリカ」を使い、選挙後の「政治活動」資金を手当てする可能性があると言う。献金要請のメールは、細かい文字を読まない献金者を誤解させるものだ、とノーブル氏は指摘した。

「トランプ氏は選挙を巡って法廷闘争をすると大騒ぎしている。それを見た多くの人々が、策略的な文言に注意を払わず、もしくは理解しないまま献金している可能性は十分にある。わが国の選挙への攻撃を資金調達の道具に使うのは、わが国の民主主義にとって非常に危険なことだ」

共和党までも同様の戦略を

ノースカロライナ州共和党も同様の戦略を用いている。今週、献金が期待できそうな人々に対し、トランプ氏の写真入りの大量の電子メールを送り、選挙の公正性を守るために資金を募っていると訴えた。

しかし、付いている法定開示文書を読むと、献金は共和党の諸経費を賄う口座に入り、今回の大統領選に関する訴訟には直接流れないことが示されている。なお、同州ではトランプ氏は勝利を確実にしている。

ある著名なノースカロライナ州の共和党員は匿名を条件に「もっと透明性を確保すべきだ。法廷闘争を助けるために資金を募っておいて、その資金が党や陣営の幹部の給料に回るとすれば、正しいこととは思えない」と語った。

同州共和党の広報担当者は文書で、同党の意向は「すべての合法的な投票の集計を確保」することだとした。しかし、献金要請が誤解を招いているのではないか、なぜ献金が訴訟に直接回らないのかについての質問には答えなかった。

(Jarrett Renshaw記者、Joseph Tanfani記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時800円近く下落 連休控

ビジネス

焦点:金利正常化占う試金石、近く日銀委員人事案 リ

ビジネス

銀行のデジタルユーロ導入コスト、4年で最大60億ユ

ワールド

ウクライナ紛争、ロシア側にケニア人1000人超勧誘
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 5
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 6
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    カンボジア詐欺工場に「人身売買」されたアフリカ人…
  • 10
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中