最新記事

朝鮮半島

「非常に申し訳ない」韓国公務員の射殺を謝った金正恩の真意

2020年10月5日(月)12時05分
カン・ブー

だが重要なのは、これが可逆的な出来事だったという点だ。

北朝鮮の挑発を受けて、文は国家安全保障チームの人事を刷新。専門家のみるところ、北への関与にこれまでより積極的な顔触れになった。

だが、公務員射殺事件は性格が違う。金自身が命令を下したわけではないから、北の強圧的な戦術の一部ではない。

しかも、この事件は「可逆的」なものではない。だから金は緊張をすぐに抑えるため、異例の謝罪を行ったのだ。事件後に韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は、文政権の対北関与策が継続される旨の発言をしている。

2つの事件の違いから、金の謝罪の真意が明らかになる。北朝鮮は危機をつくり出すのがうまく、常にほぼ台本どおりに事を運ぶ。国連の制裁決議を逃れたい北朝鮮としては、文を味方に付けようという計画が突発的な事件で台無しになるのを望んではいない。

こう考えると金の迅速な謝罪は誠意の表れというよりも、あくまで現状を維持し、突発的事件の衝撃を弱める狙いがあったとみるべきだ。金の当面の目標は、11月の米大統領選まで南北関係を安定させることだからだ。

From thediplomat.com

<2020年10月13日号掲載>

20201006issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月13日号(10月6日発売)は「中国ダムは時限爆弾なのか」特集。世界最大の三峡ダム決壊説の真偽を考える。[PLUS]「無責任」中国のダム輸出。

【話題の記事】
「食事は食パンとキムチと水だけ」バイトにもありつけない韓国の若者たち
北朝鮮の韓国乗組員射殺で「終戦宣言を」の文在寅に逆風

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米自動車販売、第1四半期はGMとトヨタが前年比減

ワールド

イラン、恒久的な戦争終結へ停戦保証を要求=高官筋

ワールド

ルッテNATO事務総長が来週訪米、「かねてから予定

ワールド

トランプ政権、鉄鋼・アルミ関税見直しへ=米報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中