最新記事

朝鮮半島

北朝鮮の韓国乗組員射殺で「終戦宣言を」の文在寅に逆風

2020年9月28日(月)17時25分
モーテン・ラーセン

9月22日の国連総会で「終戦宣言」への意志を示した文大統領だが…(写真は8月15日、 光復節でのスピーチ) Chung Sung-Jun/Pool via REUTERS

<亡命のそぶりは全くなかったという謎の事件。停滞する対北融和はさらなる逆風に>

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月22日の国連総会で事前録画による演説を行い、休戦状態にある朝鮮戦争の終戦宣言を実現したいとの考えを示した。

だがその数時間前、黄海の北朝鮮付近で行方不明になった韓国海洋水産省に所属する47歳の漁業指導船乗組員が北朝鮮軍に射殺され、遺体を焼却された事実が発覚。対北融和ムードが停滞するなか、文への逆風になるのは必至だ。

韓国当局は、乗組員が北への亡命を図ったとみているが、家族や同僚らはそんなそぶりは全くなかったと言う。北朝鮮当局は乗組員を22日午後に発見し、「上部からの」指示により海上で射殺。北朝鮮がコロナの水際対策で過剰反応をしたともみられている。

「裁判もせずにその場で殺すことなど許されない」と、与党「共に民主党」の重鎮、宋永吉(ソン・ヨンギル)は糾弾。韓国政府は25日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から異例の謝罪を受けたと発表したが、文への批判が高まっている。

From Foreign Policy Magazine

<2020年10月6日号掲載>

【関連記事】南北統一をめぐる韓国人の微妙な本音「統一は必要ですか?」
【関連記事】韓国の弱腰対応が北朝鮮をつけ上がらせている

20201006issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中