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トランプの新型コロナ感染が安全保障に及ぼす4つのリスク

The Dangerous Foreign-Policy Fallout of Trump’s COVID-19 Diagnosis

2020年10月6日(火)16時25分
マイカー・ゼンコー(米外交問題評議会フェロー)

たとえば、大統領がすぐにも対応しなければならないような危機が起きたと仮定しよう。たとえば外交関連施設で正体不明の勢力が大勢の人質を取った、あるいは重要なインフラが壊滅的なサイバー攻撃を受けて、このままでは複数のアメリカ人が命を落とすことになる状況が発生したとしよう。こういう時、さまざまな人がホワイトハウスに注目する。外交官や軍は指導や具体的な指示を求め、議会は事実に関するブリーフィングを求め、同盟諸国は支援要請に備え、米国民は透明性とリーダーシップを求める。だが今や、トランプや彼の下で働く人のどんな発言も、信じる人はほとんどいないだろう。

もちろん、こんな事態は避けられたはずだ。トランプは自分と自分の下で働く人々の健康を守ることができたはずだし、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大し始めた時に、きちんと国を率いることだってできたはずだ。以前から行われてきた空爆作戦を拡大するだけではなく、国際的な紛争解決の仕組みに参加することもできたはずだ。だがトランプとその周りの人々は、あのとおり利己的な人たちだ。新型コロナウイルスに感染したトランプの病状が今後いかに悪化しようとも、彼らが変わることを期待すべきではない。

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