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米中対立で試される菅外交のバランス感覚──超大国の狭間で日本が決断を強いられる日

Japan’s Difficult Balancing Act

2020年9月29日(火)09時10分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

そして、今後5〜7年の間に日中関係を根本から壊しかねない問題がある。アメリカが日本に中距離ミサイルを配備する可能性だ。米国防総省は中国本土近くに強力な兵器を配備したい意向で、日本はまさに理想的な位置にある。

まだミサイルは開発途上なので、アメリカがすぐに配備を打診するわけではない。だが十分な数のミサイルが製造されれば、アメリカが日本に受け入れを求めないとは想像しにくい。もし日本が了承すれば、日中関係は国交正常化以降、最悪の危機に直面する。

どの問題も、安倍や菅に責任があるわけではない。だが2つの超大国の板挟みになる日本の苦境と、菅が直面する外交面での難題の大きさを改めて教えてくれる。

©Project Syndicate

<2020年10月6日号掲載>

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