最新記事

米中対立

中国人民解放軍、グアムの米空軍基地標的とみられる模擬攻撃の動画公開

2020年9月21日(月)17時47分

人民解放軍空軍の微博アカウントで公開されたグアムの米空軍基地を標的にしたとみられる模擬攻撃の動画よりキャプチャ。

中国空軍は19日、核攻撃能力を備えたH─6爆撃機が、米領グアムのアンダーセン空軍基地を標的にしているとみられる攻撃のシミュレーションを行う動画を公開した。

動画は人民解放軍空軍の微博(ウェイボ)アカウント上で公開された。中国は米国務省高官の台湾訪問に反発し、19日に台湾海峡付近で前日に続き軍事演習を行った。

グアムにはアンダーセン空軍基地など米軍の主要な施設があり、アジア太平洋地域の有事への対応で重要な役割を果たす。

2分15秒の動画は「戦争の神『H─6K』、攻撃を開始」という名称で、映画の予告編のような劇的な音楽が流れ、H─6爆撃機が砂漠から離陸する様子が写っている。

その後操縦士がボタンを押すと、海岸沿いの滑走路に向かってミサイルが落ちる。どこの滑走路か具体的には言及していないが、動画で写される滑走路の衛星画像はアンダーセン空軍基地のレイアウトと全く同じに見える。

音楽が突然止まり、地面が揺れる様子や空から見た爆発の映像が写される。人民解放軍空軍は動画の説明で「われわれは祖国の空の安全の擁護者だ。祖国の空域を常に防衛する自信と能力を備えている」と記している。

中国国防省と米インド太平洋軍司令部は現時点で動画についてコメントの要請に応じていない。

シンガポール防衛戦略研究所のコリン・コ―研究員は動画について、中国の長距離での戦力投射能力の高まりを強調する狙いがあり、台湾や南シナ海を巡る衝突が起きれば、グアムのような後方拠点でも脅威にさらされると米側に警告する意図があると指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【話題の記事】
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

富士通、今期営業益35%増見込み 売上は2%減少へ

ビジネス

富士通、発行済株式の6.75%・1700億円上限に

ビジネス

キヤノン、通期業績を下方修正 為替と米関税政策の影

ビジネス

ニデック、26年3月期は8.2%の営業増益見込む 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「iPhone利用者」の割合が高い国…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中