最新記事

2020米大統領選

米大統領選、トランプが猛反対する郵便投票で不正がほぼ不可能なワケ

2020年9月15日(火)10時55分

ニューヨーク大学ブレナン司法センターによると、多くの選挙区は投票用封筒に、開票手続きを助けるバーコードを印字している。バーコードは、有権者が自分の投票した用紙が受理されたことを確認する際にも活用される。

二重投票?

トランプ氏は先週、激戦州ノースカロライナ州で支持者に対し、郵便投票した上で本選当日に投票所に出向いてもう1度投票するよう呼び掛け、物議を醸した。米国では同じ選挙で2回投票することは重罪になる。

複数の研究によると、他の選挙詐欺と同様、二重投票も極めてまれなようだ。

米選挙支援委員会(EAC)の集計によると、16年の大統領選では8247件の不在者投票が拒否された。有権者が投票所でも投票したためだ。ただ、この大部分は意図的に不正を試みたものではないとみられている。専門家によると、全米すべての州が二重投票の防止措置を取っている。

ノースカロライナ州は選挙の電子台帳で、誰が既に投票したかを追跡する。トランプ氏の発言を受けた同州の選挙管理当局者の声明によると、本選当日の午前6時半時点で、不在者投票が既に受け付けられた有権者は全員、選挙台帳から削除される。投票所での投票を試みても認められない。本選当日に到着した不在者投票は、二重投票がないことを確実にするため、投票時間終了まで集計されないという。

激戦州で特に重要とされるペンシルベニア、フロリダ両州も、同様な電子システムを導入済み。有権者が郵便投票を申請したかや、返信された郵便投票用紙が既に受理されたかを開票作業の担当者に教える仕組みだ。

フロリダ州レオン郡の選挙管理人、マーク・アーリー氏は「われわれは最新技術を使うことで、データベース更新のたびに6秒以内にそれを把握する」と語る。同氏の選挙管理事務所ではこれまで選挙のたびに「二重投票」を試みる事例が少数見られたが、これは普通、高齢の有権者が郵便投票したことを忘れてしまったケースだったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャーによる株買い増し、「戦略に信任得てい

ビジネス

スイス銀行資本規制、国内銀に不利とは言えずとバーゼ

ワールド

トランプ氏、公共放送・ラジオ資金削減へ大統領令 偏

ワールド

インド製造業PMI、4月改定値は10カ月ぶり高水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中