最新記事

2020米大統領選

トランプ vs バイデン 無党派層獲得で両極端の戦略

2020年9月5日(土)12時04分

米大統領選候補者を正式指名する民主・共和両党の党大会は、トランプ大統領の指名受諾演説で幕を閉じた。写真は27日、ホワイトハウス前で受諾演説をするトランプ大統領(2020年 ロイター/Carlos Barria)

米大統領選候補者を正式指名する民主・共和両党の党大会は、トランプ大統領の指名受諾演説で幕を閉じた。両陣営とも11月3日の本選に向け、勝敗の鍵を握るほんのわずかな無党派・穏健派層の票を狙う姿勢を鮮明にしたが、最終盤戦に差し掛かってのこの戦略は極めて対照的だ。

トランプ氏は党大会で、テレビのリアリティー番組の元司会者としての才能をいかんなく発揮し、自身の新型コロナウイルス危機対応に失望して離れた支持者の奪還に努めた。27日夜には、民主党候補バイデン前副大統領が大統領になれば米国は「無法」状態になると悲惨な絵を描いて見せた。

この発言から、共和党が今後2カ月間、どのような戦略を取ろうとしているかが見て取れる。米国民18万人の命を奪い、経済活動の手足を縛った新型コロナから争点を転じ、街頭の騒乱の責任は民主党に帰する戦略だ。


共和党側は、まるで感染症の危機が収束したかのようにコロナの話題をおおむね控え、危機以前の強い経済状態を有権者に思い起こさせようとした。一方、民主党大会では、バイデン氏は感染拡大に対してトランプ氏の取った行動の責任に焦点を当てた。

米デイトン大の選挙専門家、クリストファー・デビン氏は「両党の党大会は、わが国が今どこにいて、将来どうなる可能性があるのかについて、まったく異なる現実像を示した」と話す。

共和党大会は、トランプ氏を「法と秩序の擁護者」と位置付けた。ここで意識したのは、分断をあおるトランプ氏の扇情的な話術には同意できないものの、人種差別と警察の暴行への抗議活動が何カ月も続いて時に暴力的な光景に発展するのにいら立っている有権者だ。

ウィスコンシン・ミルウォーキー大のキャスリーン・ドラン政治科学教授は「これは自身の岩盤支持層をしっかり押さえ、投票に行かせようとする試みだ」とした上で、「同時に、トランプ氏が『郊外の女性』と呼ぶ、態度を決めていない女性有権者層の一部を引き込む狙いもある」と解説した。

ロイター/イプソスが19―25日に実施した世論調査によると、全米でバイデン氏の支持率はトランプ氏を7ポイント上回り、党大会前とほぼ同じだ。しかし郊外の有権者となると、両者の差が縮小。勝敗を決するこの層でこれまでリードを広げていたバイデン氏にとっては、気になる兆候だ。

鍵を握るとされる郊外女性層は、6月に比べるとトランプ氏に批判的ではなくなっている。この層でのバイデン氏のリードは9ポイントと、6月の同調査の15ポイントから縮まった。

大卒の白人層で見るとバイデン氏のリードは5ポイントで、やはり7月の7ポイント、6月の11ポイントから縮小している。

しかしトランプ氏が郊外の有権者にアピールするため、犯罪取り締まりについて情け容赦ない言葉で断固たるメッセージを出す一方、人種差別の是正を求めるデモ参加者にはほとんど共感を示さないのを見て、黒人有権者はますますバイデン氏を支持する可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円反発、156円ちょうど近辺 日銀総

ワールド

米、北朝鮮との無条件対話にオープン─ホワイトハウス

ビジネス

再送-〔兜町ウオッチャー〕IT・コンサル株売りいつ

ビジネス

米国株式市場=反落、テクノロジー株が安い ダウは横
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは
  • 4
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 5
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 6
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 7
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「3列目なのにガガ様が見えない...」観客の視界を遮…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中