最新記事

2020米大統領選

米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない

Americans Must Be 'Prepared to Mobilize' If Trump Refuses Election Results

2020年7月21日(火)15時45分
イワン・パーマー

トランプは大統領の任期が切れる2024年以降も居座るつもりだ Carlos Barria~REUTERS

<大統領選挙で負けたら辞めるか、という質問に「単純にイエスとは言えない」「不正が行われるかもしれない」と、このまま居座る気満々。コロナ対策の郵便投票を不正の温床と批判しているのも、辞めないための狡猾な伏線だ>

ドナルド・トランプ大統領が11月の大統領選で負けても辞めない可能性を考えて、米国民は備えをしておかなければならない――反トランプを掲げる非営利団体「スタンドアップ・アメリカ」はこう訴えている。

トランプは7月19日に放送されたFOXニュースのインタビューの中で、選挙に敗れたらどうするかという度重なる質問に、はっきりと答えなかった。草の根運動を展開する同団体はこれを受け、トランプは「アメリカの民主主義を脅かす」存在だと非難している。

トランプは選挙結果を受け入れるかという問いに対し、単純にイエスとは言えない」と答えた。「選挙で不正が行われれば辞めない」などと最後まで言い逃れを続けた。

スタンドアップ・アメリカはトランプのこうした発言について、票が投じられる前から、有権者の間に投票結果に対する疑念を植えつける「狡猾な」やり方だと批判している。11月の大統領選に関する各種世論調査では現在、民主党の指名獲得を確実にしているジョー・バイデンが優勢となっている。

トランプは(コロナ禍の影響で)急増している郵便投票について、本選の結果の正当性を損なうことになると証拠もなく繰り返し主張。「外国政府が数百万枚の郵便投票用紙を偽造して、一大スキャンダルになる!」などと根拠のない主張を行ってきた。

2024年以降も居座る

トランプは2016年の大統領選についても、自分が一般投票で(クリントンに)負けたのは「何百万もの」不正投票があったせいだと主張したが、実際に不正投票があったことを示唆する証拠は出ていない。また米大統領は2期までという任期制限があるが、トランプは2期を超えて大統領の座にとどまる可能性も示唆しており、ツイッターに(2期目が終わる)2024年以降の4年毎の選挙スローガンを掲げる映像や、「トランプ2188」「トランプ9000」「トランプ4Eva(フォーエバー)」などの言葉を投稿している。

スタンドアップ・アメリカのショーン・エルドリッジ創業者兼社長は声明を発表し、トランプが選挙結果を受け入れるかどうか明言を拒んだことは、彼が「法の秩序をまったく尊重していない」ことを示していると批判した。

「トランプはこの5年間、外国政府に干渉をそそのかしたり、有権者の不正について根拠のない主張をしたり、2016年の選挙結果について嘘をついたりして、この国の選挙を台無しにしようとしてきた。アメリカ国民は、トランプが負けを認めることを拒んだ場合に備えるべきだ。我々はそれに立ち向かう備えをしておくつもりだ」

<参考記事>大丈夫かトランプ 大統領の精神状態を疑う声が噴出
<参考記事>「米コロナ致死率は世界最低」と繰り返すトランプの虚言癖

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍

ワールド

米、台湾への武器売却を承認 ハイマースなど過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中