最新記事

結婚

「この貞淑な花嫁は......男だ」 イスラムの教え強いインドネシア、ベール越しのデートで初夜まで気付かず

2020年6月11日(木)19時22分
大塚智彦(PanAsiaNews)

愛らしいティアラを付けた貞淑な新妻の正体は Ist/Lombok Post via facebook

<甘いひとときとなるはずの初夜が気まずい雰囲気に暗転、夫が新妻に不審を抱き始めた......>

インドネシアの世界的観光地バリ島の東にある西ヌサテンガラ州ロンボク島は、国際レベルのビーチリゾートと素朴なインドネシアの田園風景が続く「隠れた観光地」あるいは「喧騒のバリ島を逃れた人を癒す島」として知られている。そのロンボク島西部のスンギギビーチのある西ロンボク県のジェロゴル村で6月2日、1組の夫婦がめでたく結婚式を挙げた。

新郎、新婦側の親戚、知人そして宗教関係者らが参列した結婚式も無事終わり、新婚夫婦は初めての夜を2人だけで迎えることになった。

本来なら新婚夫婦だけの甘い時間が流れるはずの新婚初夜だったが、新郎ムーさん(31)が新婦のMITさん(25、警察はイニシャルしか公表せず)を夫婦の行為に誘ったもののMITさんがこれを固辞。それも恥ずかしさと貞淑さのためと理解したムーさんは何度も繰り返し誘った。しかし新婦は「生理が始まった」と拒否し続けたためたため、最後は重苦しい雰囲気に変わったものの、ムーさんは「生理では仕方ない」と初夜の儀式は延期となったと地元メディアは伝えている。

その翌日、MITさんはムーさんに対して突然「離婚したい」と言い残して家を出て行ってしまったという。

どうも新婦の様子がおかしいと思い始めたムーさんは、MITさんの実家へ向かい近所の人達から事情を聞きはじめ、そこで隣組の長から衝撃的な事実を告げられた。

「MITは男だ、この辺じゃ誰もが知っている」

ネットで知り合い、数回の交際で結婚

ムーさんが結婚した相手はこともあろうに同じ男性で、形の上では同性婚となったのだった。だがインドネシアにおいて同性婚は法律上許されない婚姻だ。

ムーさんの訴えを受けて捜査に乗り出した地元西ロンボク警察からの情報や地元メディア「トリビューン・ニュース」「ロンボク・ポスト」などの報道を総合すると、ムーさんとMITさんはフェイスブックを通じて5月初旬ごろに知り合い、その後個人的な連絡を頻繁にとる仲になり、お互いに好意を寄せるようになった。

そして西ヌサテンガラ州の州都でもあるロンボク島の都会マタラムのウダヤナ通りでデートすることになり、カフェで初めて直接会ったという。

「事件」を伝える現地メディア

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

世界の石炭需要、今年過去最高に 30年までには減少

ビジネス

ホンダ、日本と中国の工場で年末年始に稼働停止・減産

ワールド

インドネシア中銀、3会合連続金利据え置き ルピア支

ビジネス

英CPI、11月は前年比+3.2%に鈍化 3月以来
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中