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「コロナ優等生」韓国の病巣は経済──構造改革を進めない文在寅政権

SOUTH KOREA’S POST-PANDEMIC ECONOMY

2020年6月9日(火)19時40分
李鍾和(高麗大学経済学部教授)

さらに、輸出主体の大手製造企業が経済全体を支配していることが、中小企業やサービス産業を圧迫し、全体的な生産性の伸びを妨げている。その結果、韓国の国際競争力も阻害されている。

これまでのところ、韓国政府はこれらの課題に効果的に対応していない。左寄りの現政権は構造改革を進めず、非生産的な公共支出と公共部門の雇用を拡大した。さらに、企業に対する規制を強化し、投資とイノベーションを妨げている。

今回の危機は、韓国にとって変革のチャンスだ。労働市場の柔軟性と市場競争を強化し、女性の雇用を推進し、生涯教育と技能訓練を提供する改革がこの国には必要だ。

輸出への依存度を減らすために、政府は付加価値の高いサービス産業を後押しする環境をつくり出すべきだ。また、民間投資や研究開発の条件を改善する必要もある。

韓国は新型コロナの対応で国際的に正当な評価を受けた。今後は、生産的で持続可能、かつ開放的な経済の基礎を築くために、ウイルス対策並みの熱意と洞察力を駆使する必要がある。

©Project Syndicate

<本誌2020年6月16日号掲載>

【参考記事】韓国のコロナ対策を称える日本に欠ける視点
【参考記事】韓国政府、ポストコロナ対策として「国民皆雇用保険」の導入に意欲

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